大琳派展-継承と変奏-

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公式HP  http://www.rinpa2008.jp/
国立博物館で昨日から開催されている「大琳派展」に行ってきました!

今年は尾形光琳生誕350周年にあたるのだそう。
「大」琳派展、と銘打つだけあって見ごたえのある美術展でした。
図録も3,000円とかなり気合の入ったもので、琳派ムック本として楽しめそうです。

以下は、私の独断と偏見に満ちた見どころ紹介です。

My今回の見どころ① 光琳「燕子花(かきつばた)図屏風」

「燕子花図」は10月7日(火)~10月19日(日)の13日間しかお目見えできません。
土日の混雑時に横幅3m以上もある作品全体を観るのは不可能なので、振替休日を取得。
しかし、印刷物やネットで見るのと実物ではほんとに大違いな作品です。
濃い紫だと思っていた花の色は、東山魁夷の作品にもみられる、岩絵具の青。
光琳の、モチーフの形状を生かした配置へのこだわりが特にはっきり表れた作品です。
金沢ishiwataさんが、「能の序破急を表している作品」と教えてくださったけれど
能の「杜若」を題材にした作品との説もあるのだそうです。

My今回の見どころ②光悦&宗達「光悦謡本」

「燕子花図」もそうだけど、琳派と能とのつながりの深さに驚かされます。
能をモチーフにした作品がすごく多い・・・これは能と琳派パトロンが共通だからかも。
辻邦生の「嵯峨野明月記」の『光悦謡本』実物を見られて感激!(T T)ジーン
角倉素庵が開版し、宗達の下絵(雲母刷)に光悦の書を印刷し、観世黒雪が節付けした
・・・という、贅を尽くした謡本です。すべて法政大学能楽研究所所蔵品。
光悦謡本を見ると、文化とは豊かな富と教養がそろってはじめて生まれるのかと思えてきます。
これを出版した角倉家って、寛永メディチ家的存在だったんでしょうね。
展示作品は「大原御行」「清経」「女郎花」「俊寛」「殺生石」「盛久」「千手重衝」。

My今回の見どころ③宗達光琳「槇楓(まきかえで)図屏風」

風神雷神図屏風」に懲りず、宗達への挑戦と画境の開拓を続ける光琳クンです。
両者の作風の違いは、特に線描と構図にはっきり表れているなあ~と思いました。
宗達の線描が大らかで柔らかいのに対して、光琳はシャープでモダンな感じ。
光琳は槇を華奢に描き、金泥の空間を大きく取ることで垢抜けた雰囲気を出しています。
でも・・・距離を置いて見て私が気に入ったのは、宗達上代風の槇楓でした。

My今回の見どころ④宗達「養源院の杉戸絵シリーズ」

「唐獅子図」「白象図」を並べて展示。それぞれ雌雄一対の霊獣が描かれています。
白象のマットな白や線描の力強さが、象の大きさや力を思わせる大胆な構図。
しかし、この杉戸、実際にガラガラガラッ!と引いて開け閉めしてたんでしょうか?!
私が養源院のお坊さんだったら、そんなコト怖くてできない・・・(((^_^;)

My今回の見どころ⑤乾山「色絵定家詠十二ヶ月和歌花鳥図」

季節の花や鳥をモチーフにした十二枚の角絵皿の裏に、定家の和歌が書かれたもの。
夏の巨匠対決では、乾山の陶器はハデであんまり興味なかったけれど、
このシリーズの角皿はスッキリして情緒があって、いい器だなと思いました。
それでいて縁に描かれた藍色の文様が豪奢な感じなのもGoodです。


え?抱一や基一はどうしたのかって??
うーーん、抱一もそれなりによかったけど、私にはイマイチぴんとこなかったなあ。
私はどうも初期琳派(特に宗達の金銀泥絵)の上代風の作品の方が好きらしく、
抱一のクリアな色彩や線描にはあまり惹かれなかったのです。
ただ、琳派って 桔梗や立葵をモチーフとして繰り返し取り上げているので
時代が下るにつれて、明るくシャープなタッチが好まれていく様子が見てとれます。
時代の空気っていえばいいのかな、そんな雰囲気が俯瞰できたのも楽しかったです。
光琳意匠の着物の「ひなかた」とか蒔絵の下絵図案集といった形で
17世紀から19世紀まで、琳派が日本美術の中に脈々と生き続けたのにはため息が出そう。

ふぅ~~~っ。

で、先にも書きましたが屏風絵の大作が多いので、平日の鑑賞がオススメ。
展示入替も4回くらいあるので、お目当ての作品は事前の展示期間確認が必須です!