ちょっと気どったランチ

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 平凡社コロナ・ブックスから出ている「作家の~~」シリーズが好きでして、
「作家の食卓」で、吉田健一が足しげく通ったという神保町のお店に行ってきました。
 
 創業100年になるという老舗のビヤホールで、その名も「ランチョン」。
当初は同業者が近所にいなかったので単に「洋食屋」で通していたのを
常連の芸大の先生が「名前がないと不便だ」というので命名したのだとか。
ランチョンとは「ちょっと気どったランチ」という意味だそう。
なんか、戦前の古きよき時代を思わせる、ほほえましいエピソードですね。
 
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 ランチタイムが15:00までと遅めなので、14時近くでもそこそこの混み具合。
いつもはメニューを即決するのですが、珍しく迷った末に日替わりランチを注文。
あ~なにやら旨い酒も飲みたくなつてきた。。。というわけで白葡萄酒を一杯。
こんな薄曇りの昼下がりに、窓の下を流れる靖国通りの雑踏を見下ろしながら
仕事上がりに味わう、冷えた白葡萄酒は、また格別なものですなあ~。
 吉田健一が足を運んでいた当時から改修を経て、店は様変わりしてしまったけど、
晩年の吉田健一と偶然居合わせた人によると、「ケッケッケッ」と甲高い声で
笑いながら上機嫌でビールを飲んでいたらしい(笑)。
 
ボルドーでも、ブルゴーニュでも、葡萄酒が日本酒と違うのは、飲んでばかりいるわけに行かなくて、何かうまいものを食べながら飲んだ方がうまいことである。
― 「酒の話」 ―
 
 確かに葡萄酒を飲むと、空腹スイッチが入るというか、お肉が食べたくなる。
 でもそれは、もしかしたら幼少時に父の本棚にあった子供向け世界文学全集「グリム童話」で、お屋敷の台所の下働きの娘が赤葡萄酒を盗み飲みしたら、猛烈にお腹がすいてガチョウの丸焼きもぺろりと平らげてしまうという話を読んで、「葡萄酒を飲むとお腹がすく」という刷り込みができていたせいかもしれない。
 そういえば、これまた絵本の話で、狼がビール工房のビールをがぶ飲みした後、お腹がすかせて結婚披露宴に乱入して御馳走を平らげるというドイツの童話も読んだ記憶もあるし。きっと、これらの童話を読んで「お酒はおいしいものに違いない」「大人になったらお酒を飲んで御馳走をおいしく食べてみたい」と思って、まっすぐ育っちゃったんだろうなあ。っていうか、一体どんな絵本読んで育ったんだ?!
 う~ん、小さい子どもをお持ちの親御さんは、絵本の選定をちゃんとしなくちゃいけませんね。特にドイツとか中国の童話は要注意である。
 
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日替わりランチ。お味はそうね、「わりと美味しい」。
メンチカツはすこ~し柔らかめで(これは好みが分かれるかも)、お肉がジューシー。
結構ボリュームがあるので、古本屋探索前のエネルギー補給にちょうどいいかな。
次回はハンバーグも試してみようっと。
場所柄、水道橋の帰りに寄ろうかとも思ったのだけど、ラストオーダーと終演時間がほとんど同じなのだった。残念!