ヨロン丼

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 先日、オープンしてまもない某ブックカフェでランチしてきました。
公共施設の一角にあるこのカフェ、高い天井いっぱいに作りつけられた本棚には純文学系(国内)とサブカルチャー中心の構成。
 ブックカフェというと、地下にあって陰気くさかったりインテリアが中古の寄せ集めだったりしてイマイチ落ち着かず、居心地の良さではやはりプロパーの「喫茶店」「珈琲店」に軍配が上がりますが、こちらは小さいながら明るくて調和のとれたシンプルな店構えで、上記の問題はクリア。惜しむらくは椅子に背もたれがないこと。やはりこのジャンルのカフェはまだまだ発達途上という気がします。
 
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 このお店のユニークなところは、メニューが小説の中に登場する料理や固有名詞にヒントを得たものであること。
 写真は、森瑤子の短編集「デザートは後で」に登場するヨロン丼。エッセイの中でも「男殺しの一皿」として登場する、オイルサーディンを炒めて醤油と唐辛子で味付けして万能ねぎをたっぷり振り掛けた、シンプルな丼もの。
 
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 実際に食べてみた限りでは、すだちがレモンになっている以外はほぼ小説通りに作っていると思います。ほぼ一缶ぶんオイルサーディンを使っていて、まずレモンを全体にさっとかけてから、さっくり混ぜて食べると美味しい。主婦から作家になったというだけあって、「あるものごはん」系のレパートリーだけど、こういうシンプルな料理に限って美味しいんだよね。イワシの油っ気と醤油、唐辛子、柑橘の爽やかさが絶妙に混じり合い、これなら池田満寿夫じゃなくても「ウメェウメェ」と言うでしょう。
 
 やまねこも魚の缶詰はよく利用しますが(卵とじ丼とかシチューに)、これならフライパンひとつで作れそう。オイルサーディンって酒の肴専用ではないのですネ