卒業
慌しく過ごしているうちに、気がつけば東京の桜は今日が満開。
予報どおり明日雨が降るなら、見ごろは今宵まででしょう。
だから、日付が3月のうちに、(ビル・エヴァンスを聴きながらいささか感傷的な気分で)、去年旅先で出会った桜を今頃やっと記事にしてみる。
Bill Evans with Jeremy Steig - Spartacus Love Theme
一年前のあの日、冷たい春の雨が降る中、地下鉄を乗り継いで福岡の東側へ。
色とりどりの袴姿の女子大生や紺スーツ姿の学生たちが行き交う通りを抜けて、記憶に任せるまま歩く。
一年後のいま、この場所はもう存在しない。
ここの卒業生でもないのに、なくなると知ったときにはとても悲しかった。
またひとつ、思い出の場所が消えていく。
この棟に一か所しかない給湯室も、もう跡形もないんだろうな。
たったいま見てきたような気さえする一年前の雨の桜も、いつかは時とともに記憶の片隅に流されていくのだろうか。