「対訳 ペレアスとメリザンド」(岩波文庫)

ここ一ヶ月、フォーレにハマッています。
その昔、吹奏楽部でフルートを吹いていた山猫にとって、フォーレは好きな作曲家の一人でしたが、劇音楽「ペレアスとメリザンド」を聴いて以来、繊細で抒情的な世界の虜に。
笛吹きなら誰でも一度は聴いたことのある「シチリアーノ」もこの劇音楽中の作品だと初めて知りました。

ところで、原作については「トリスタンとイゾルデ」と完全にごっちゃにしていました。
だって似てるんだもの。中年の王(王子)と長い金髪の美女という夫婦、王族の若者との許されない愛、恋人達の悲劇的な死。姦通ブンガク鉄壁のパターンですよね。原作をちゃんと読んだ人がどれだけいるのか知りませんが、ドビュッシーワーグナーのオペラのおかげで「なんとなく読んだつもり」になってる人も結構多いんじゃないでしょうか?山猫も何を隠そうその一人。
こんなバリバリ姦通ブンガクの作者が、あのメーテルリンクっていうのもかなりびっくり。
(だって「青い鳥」ですぜ。チルチルとミチルのお話の作者ですぜ!)
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ショックのあまり、ぜひとも原作が読みたくなり版元を調べるもすでに絶版。しょうがないので古本屋のネットで購入。刊行当時(88年)に500円だった文庫本を2,600円で買うのはどうよ、とも思いましたが、保存状態もよく岩波には珍しい対訳(見開きの左右ページででオリジナルと和訳が読める。語学学習に便利?)。何より挿絵が美しいのが決め手。
大人のための、上質な絵本と思えば高くないかも。架空の国の王族の浮世離れした会話がこれまたたまりません。休日の午後でもないとつき合えない世界だけど。