フォーレ:劇音楽「ペレアスとメリザンド」

新しい職場が忙しく、なんと一ヶ月ぶりの更新。

このところ、フォーレにはまっている。叙情的で繊細、そしてどこか退廃的な雰囲気は、アール・ヌーボーからデコの時代にかけて活躍した装飾家、ルネ・ラリックの作品を彷彿とさせる。
ペレアスとメリザンド」もそうだけど、フォーレの作品は、現実の世界から手の届かない高みへの憧れ、というものを強く感じさせる作品が多い気がする。
たとえば、「ペレアス」の「糸を紡ぐ女」の、曲が高まりつつも昇りきれないやるせなさ。オーボエ(メリザンド)が少しずつ高まっているのに、弦楽器の通奏低音が低いところをぐるぐる旋回し、最後に地上に着地してしまう。この後恋人たちに訪れる運命を暗示しているかのように。
この劇音楽のオリジナル(メーテルリンク)には、ドビュッシーシベリウスシェーンベルクもインスパイアされて作曲しているのだけど、あの退廃的な世界観にはやっぱりフォーレが一番しっくりくるんじゃないかと思うのだ。
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実は今日、ナクソスから「ペレアス」のピアノ演奏版(アルフレッド・コルトー編曲)が出ているのを見つけてさっそく購入・・・・・・が、大ハズレ。
全体にスローテンポでしかもタッチが重いんだよ~!フォーレ独特の装飾音がどんくさくなってる(涙)。せめてコルトー本人による演奏を聴きたかった。