「華麗なる能装束-高島屋コレクション展-」(国立能楽堂)

うだるような暑さの金曜日から一転、底冷えのする週末に。
11月並みの気温だそうです。
日本の四季はどこへやら。

日曜の夕方、代々木で用事を済ませたついでに千駄ヶ谷へ。
国立能楽堂で江戸時代の大名家の能装束を展示しているというので、
足を運んでみました。
国立へ出かけるのは初めてですが、一見ふつうのビル風の宝生能楽堂と違って、
「いかにも」な雰囲気の門構え。
(でも展示室入り口は、正門からちょっと行った脇のほう)

この展示は3期に分けて、高島屋コレクションから20点ずつ展示しているので、
こじんまりした雰囲気でした。保存のためか照明も薄暗い。
それでも、とても18世紀頃の装束とは思えないくらい保存状態がよく、
今でも使えるんじゃないの?というようなものもいくつかありました。
能楽師の体格に合わせて詰めた跡や、ウェストや裾の擦れた袴なんかがあって、
なんだか妙に生々しい。
演じた人はもうこの世にいないのに、その肉体の痕跡をとどめた装束が
色褪せもせず存在しているのって、なんともいえない気分です・・・。

展示室中央の装束はケースの中ではなく、普通に衣文にかけてあるので、
間近でじっくり見ることができました。
200年以上前の装束を手に取れそうな距離で見られる機会なんて滅多にない。
思い切ったことをするものです。ここぞとばかり、かなり接近して見ちゃいました♪

葡萄色の地に、鳳凰の文様の入った舞衣。
はなだ色の地に、金糸で二重菱と鳳凰の刺繍がしてある舞衣。

この二点が一番印象的。レプリカでいいからこれを着用した舞台を見てみたい。
特にはなだ色の舞衣は、清爽で凛とした雰囲気で、
あまり年配ではない役に使われたのかな?とても素敵でした。

ちょうど展示室を出たところで、お囃子の音が聴こえてきて、
つい立ち止まって聴き入ってしまいました。
囃方の声までは聴こえてきませんでしたが、うーん、やっぱり気になるなぁ。
早く舞台の方も鑑賞してみたいです。