消えていくことばたち

「宵のうち→夜のはじめ頃 4日から新用語 気象庁 「九州南部」も変更」

 気象庁は、天気予報の時間帯や地域に関して改正した5つの用語を、
4日から使い始める。
午後6‐9時の時間帯を表す「宵のうち」は「夜のはじめ頃(ごろ)」に変更される。

 改正は4月に行われたが、5つの用語は運用まで半年間の準備期間が設けられていた。ほかに午前0‐3時を表す「午前3時ごろまで」を「未明」に▽午前6‐9時を表す「朝のうち」を「朝」に▽「九州南部地方」を「九州南部・奄美地方」に▽「南西諸島」から種子島屋久島地方を含まない場合に使用を「沖縄・奄美」‐とする。

 親しまれた「宵のうち」が消えることについて、気象庁が今年2‐3月にアンケートしたところ「情緒ある美しい言葉。用語として残してほしい」との意見が27件寄せられた。しかし、「『宵のうち』はもっと遅い時間帯を表すと理解されている」として、方針通り変更することにした。

 4月の改正と同時に、最高気温35度以上の「猛暑日」や、高温で注意を呼び掛ける際に使う「熱中症」などの用語が使われ始めている。

                           =2007/10/04付 西日本新聞朝刊=


「宵のうち」ということばが好きでした。音(おん)の響きもなんとなく、よい。
夜が更けるにつれて、輪郭がクリアになっていく空気の匂い。
「夜」ではなく、「宵」という語のどこかあやしく、秘密めいた響き。
真夜中に向かってすこしずつ覚醒していく意識・・・。
そんなものを、あの言葉は含んでいたような気がします。

「夜のはじめごろ」なんて、高校生のヘタな英文和訳みたい。
何でもわかりやすく、正確ならいいというものでもないのに。

こうして美しい響きのことばが、少しずつ消えていってしまうのかな・・・。