今読んでいる本、これから読みたい本

この夏は、お能との出会いがあったので、やはりそっち方面の本に手が伸びました。
初心者向けの本が多いとはいえ、当たりはずれもかなりあったなー。

いま読んでいる「謡曲平家物語」(白洲正子著・講談社文芸文庫)は、
☆3.5いきそうなくらい、面白い。
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白洲正子自伝」中の、
女性として初めて能舞台を踏んだ、初シテは土蜘蛛だった、
というエピソードは面白くもなんともないのだけど、
自分を離れて書いたこの本は、原典を読みたくなるくらい面白いんです。
一見サクサクと書いたような文章だけど、深い教養と彼女独特の美学に
裏打ちされたもので、ついつい引き込まれてしまいます。
特に「実盛」「知盛」は、彼らの生き様への共感から書いたのでしょう、
他の章より明らかに力の入れ方が違う。
華やかな衣装をまとい、白髪を黒く染めて最後の戦に臨む実盛。
一族の最後を見届けるまで、沈着で肝の据わった態度を崩さなかった知盛。
正子さん、やっぱりカッコイイ男が好きなのね。次郎さんみたいな。

次に読みたいのは、ちょっと違った角度からのアプローチ。
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「物語・オーラリティ・共同体-新語り物序説-」(兵藤裕己著・ひつじ書房

著者の兵藤先生には、ほんの短い間でしたが中世国文学演習でお世話になりました。
若い頃、「最後の琵琶法師」の語りをすべて録音採集されたそうで、
「これからどんな論文を出そうと、私の最大の業績はこの録音採集だと思う」
とおっしゃっていたのが印象に残っています。
文芸における「声」をテーマに、近代文学まで射程を延ばした研究をされている
そうですが、あー、こんなことならしっかり演習参加すればよかった!
近代文学とクロスオーバーするなら、かつての専攻にも関わるし、
お能一色に偏らずバランスが取れるかな?

以上、週刊文春「私の読書日記」を真似てみました。