(摺)箔風インナー

お能を観る楽しみのひとつは、ファッションチェック・・・装束を観察すること。
鬘物(女性を主人公にした能)はもちろん、修羅物、切物もコーディネートが大胆で面白い。
一見、多色使いで派手に見えても、実は3色程度をバランスよく配色していたり、
上の装束に使われている色を、下の小袖にも重ねることで「つなぎ感」を出していたり。
 
中でも私が感心するのは、女性用装束のインナーにあたる「摺箔」。
生地の上に金銀箔を接着させて文様を箔押ししたもので、唐織や長絹の下に重ね着するのですが
前身ごろや袖の一部をのぞかせて、華やかさを出すのですね。
特に唐織の場合は、唐織の襟をキレイに開けた位置でワザワザ縫って固定しちゃうのだからすごい。
白洲正子が、若草色の綾織の着物に金の帯を締め、襟元をぐっと開けて金・茶縞模様の下着を見せる、
と対談で話してたのを読んで、あ~これって能装束の感覚なんだなあ~~と思いました。
こんな大胆な襟元の見せ方は、着物(装束?)だからできるのであって、洋服でマネしようとしたら
せいぜいが「見せる下着」にしかならない。
着物と違って洋服のインナーは「肌着」でもあるので、すくなくとも私の感覚では「見せる下着」は
どんなにきれいなレースであっても、「寝室」が表に出てきたような生々しさがあって導入できず・・・。
 
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が、今年の春夏のシャツブームに乗っかって白シャツを買おうと、いろいろ研究していたところ
あるブランドで光りモノのインナーを目にして、「白い麻シャツの下に重ねてはどうか?」というアイディアが
一休さんのようにひらめき、ホワイトゴールド(右)とシルバー(左)をまとめて買っちゃいました!!!
写真だとビニールみたいに見えますが、実物は白地に薄く箔をコーティングしたような色合いなのも気に入って
「おぉ~、これなら絽の長絹(透けるトップス)+摺箔の感覚にも通じるかもね!!」とご満悦(←ばか。)
 
イメージ 2
 
ホワイトゴールドに麻のシャツを重ねてみた様子。
う~~ん、画像縮小する際に色も白っぽくなるからわかりづらいけど、薄い布地を通してほのかに光って見える。
ビビッドカラーのインナーを着るのもアリだけど、内側からの光で、麻の白を際出たせるほうが私の好みかな~。
地色が薄いから、アクセサリーやボトムスの色も選ばなさそうで、この春一番「当り」のお買い物だったかも。
 
それにしても、
摺箔チェックしてなかったら光モノのインナーなんて絶対手を出さなかっただろうなあ~。
・・・とはいうものの、実際のコーディネートを見た人は、まさか能装束をヒントにしたとは思わ(え)ないだろうから、
100%自己満足なお買い物。。。
 
ま、いいさ、「華やかさを添えつつ、目立ちすぎないインナー」ってところが、摺箔(風)。