ゴーストライター/「迷走地図」(松本清張)

職場の広報誌の編集を担当することになりました。
といっても、実態はトップはじめお偉いさん方のご挨拶文のゴーストライター
最新ニュースや編集後記と合わせて、原稿用紙8枚分なので
分量的には大したことはなさそうなのですが、
通常業務と並行して進めているので、肩こりそうです。

まあ、ビジネス文書は定型をおさえてさえいれば何とかなるけど、
入社して数ヶ月の下っ端スタッフが、トップになりすまして
いかにもそれっぽい文章を900字近くも書くのは、結構大変です。
バックナンバーから、ご本人の好む言い回しを適度に取り入れて書いていますが、
読み返してみると、お偉いさんにしちゃ低姿勢な文章だったりするんですよね。
ネットで同業他社のトップのご挨拶文を参考にすることはできますが、
後に残るものだけにバレたらコトですし(汗)

代筆屋、という職業は実は結構あるようです。
辻仁成の小説にも確かそんなタイトルの作品があったような気がしますが、
ゴーストライターが暗躍する小説といえば、これ。

松本清張「迷走地図」(新潮文庫
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舞台は永田町。次期総裁候補と目される議員と財界をつないでいた
秘書・外浦が辞任し、南米へ旅立った。
外浦から貸金庫の鍵を預かっていたのは代筆屋・土井。
外浦の突然の訃報を受けて、土井が金庫から見つけたものは・・・。
燃やされるはずだった手紙の束をめぐって政界が揺れ始めた・・・。

この小説に登場する土井は、政治家の著作を代筆してるんですね。
東大全共闘出身の土井は前歴がたたって、まともな就職ができず、
政治家の御用犬として高収入を得るものの、決して表に出られないという鬱屈を
内面におさえたキャラクターとして描かれています。
その彼が、次期総裁候補夫人と外浦の情事の証拠を手にしたことで、
権力の魔手にかかってしまう・・・。

ずいぶん前に、ドラマ化されたのを見たのですが
世良公則扮する土井は結構ナイーブな感じで、原作とはかなり違ってたなぁ。
当時の私はまだ十代だったくせに、世良さん好きだったんですよね。
森本毅郎が外浦、若尾文子が議員夫人だったけど、
森本毅郎のラブシーンの演技がすっごくヘタだったのが印象的(笑)
まぁ、お相手が若尾文子だったからドキドキしちゃったのかもしれませんね。