宝生流「あまねく会」(辰巳満次郎門下会)

昨日は友人Yと一緒に、午後から「あまねく会」へ。
お目当ては辰巳満次郎さんの仕舞「鉄輪」。

こういう「ナントカ先生門下の会」を部外者が観る場合、
何時ごろ入ればいいのかイマイチよくわからない。
「あまねく会」というからには全員集合!(笑)だろうけど、全部はキツイ。
後半なら、きっとレベルの高いお弟子さんも出るかもね、と判断したのでした。

玄人の舞台では、何気なく見過ごしてしまうことも、
素人さんのを観ることで、美しく見えるポイントはどこか?に気づかされます。
仕舞も舞囃子も観るのは初めてですが、謡・舞さばき両方がバランスよく
できるようになるのは難しいんだな、と思いました。
どちらかがとても上手、という方なら数名いらしたけれど。

プログラム見たら、満次郎さんは朝からずっと地謡で出づっぱり!
毎年のこととはいえ、おつかれさまでした!パチパチパチ!(拍手)
先生の地謡(後見も兼務なんでしょう)で、舞台に上がるなんて贅沢だなぁ。
お囃子も玄人だし、うーん、お金かかってるんだろうなぁ(形而下的な想像)。
大鼓はこないだの夜能にも出てた、佃良太郎さん。
「枕慈童」では住駒さんの小鼓に注目してたし、作り物の陰で見えなかったけれど、
見れば黒紋付姿も端正なイケメン君。好みのタイプというわけじゃないけど得した気分♪
小鼓方の田辺恭資さんとの息もぴったりで、打ちっぷりも爽快でした。

満次郎さんの「鉄輪」は・・・凄絶、の一語に尽きました。
この人には、装束や面の力を借りる必要はないんじゃないかというくらい!
登場人物の内面に入り込むだけでなく、観る者にまで
誇りを踏みにじられた女の苦悶を直に体感させてしまう、凄い舞台でした。

階の前にかがんで憎い女の髪を手繰り寄せ、扇で打ち据えながらふと上げる顔。
舞の間ほんの一瞬、動きを止めたときの、1ミリのズレもない美しさ。
なにより、あの心を震わすような足拍子は、絶対忘れられないでしょう。
「鉄輪」の前に、内弟子の方も足拍子を踏んでいましたが、響きが全然違う。
Yは「あの足拍子は、舞台の床じゃなくて大地を踏み鳴らしてるんだね」
と、なかなか鋭い指摘をしてました。

終演後は、Yと神保町の美術系古書店で図録を物色し、
「ろしあ亭」「カフェテラス古瀬戸」をハシゴしてきました。
ろしあ亭、予約時の対応と接客は「?」だけど、料理はロゴスキーより美味しい。
(ロゴスキーの接客は感じいいので、評価が微妙なところですが)
メインディッシュの、鶏にりんごと西洋よもぎを詰めたローストが◎。
久々に毒舌&アートトークで盛り上がりました。
ノンアルコールで、夜中近くまで盛り上がれるのも腐れ縁ならでは。