五雲会

五雲会に行ってきました。
http://www.hosho.or.jp/nou/2007_12/goun.html

お能関係のブロガーさんによれば、毎年12月の五雲会は満員だそうですが、
はたして立ち見が出るほどの盛況。お能で立ち見が出るなんてビックリ!!
地方から来たのか、旅行バッグ持った女性の姿も。
スーパー定時で脱走して、水道橋に着いたのが「伯母ケ酒」の上演中だったので、
休憩でちょうど空いた席に座れたこと自体ラッキーでした。
隣の人の体臭がきつくて(お風呂入ってから来い!)「苞山伏」で中座したので、
「忠信」「松虫」「乱」の3曲しか観てませんが、
それぞれ面白さのポイントが違っていて、楽しめました。

今回は、初めて脇正面席に座ってみましたが、
正面からは見づらい地謡や橋掛かりの動きも見ることができるし、
舞台の流れ全体がとらえやすくて面白かったです。
お囃子が偏って聴こえるかな、と思ったら案外そうでもなかったなあ。

「忠信」
これぞザ・若手能!(の団体戦)という感じの曲。
橋掛かりにズラッと並んだ追っ手方は、骨折してもすぐ治りそうな顔ぶれ(笑)
あぐらをかいたままジャンプするあたりでは、あちこちで笑い声も聞こえたけど、
仰向けで倒れる場面では、「そこまでするか!?どこまで行くんだ?!」という雰囲気。
一気にパーッと盛り上がって楽しめる舞台でした。
敢えていえば、お囃子が、息が合ってない場面があったというか、
前半で音にちょっと元気がなかった?のが残念。
この曲は単独で観るというより、何曲か続けて上演するときに雰囲気を盛り上げるために
作った曲なのかなー、という印象を受けました。
オーケストラのコンサートで、最初にオペラの序曲などの短くて華やかな曲を
持ってくるような感覚なのかな。

「松虫」
脇を固めるベテランの個性が光った舞台。
特に森常好さんの美しい謡、大倉源次郎さんのシャープな小鼓が印象的。
大倉さん、歩き方までなんだかピタッ、キリッ!という感じ(笑)
でも、若手でこれといって印象に残る人はいなかった(気がする)。

「乱」
体育の成績が悪かった私、「忠信」とこの「乱」を観て、
能楽師の家に生まれなくてホントによかった!と思いました(適材適所)。
本日のシテで一番光っていた渡邉茂人さん。
面で限られた視界、重い(?)装束なのに、やわらかく軽々とした抜き足。
とても若々しくしなやかな猩々でした。
見所の照明がもっと暗ければ、あの赤い鬘と金の装束がもっと映えただろうなー。
堀安右衛門さんの本で「猩々」の写真を見たときには、薄気味悪い顔、と思ったけれど
赤い鬘のせいか、面がやわらかく見えました。写真だけでジャッジしちゃいけない!

ほぼ一ヶ月ぶりのお能でしたが、見所もいい意味で和やかな雰囲気で楽しめました。
私個人としては、仰向け卒倒君に本日の敢闘賞を差し上げたいと思います。
パチパチパチ!