「演目別に見る能装束」(観世喜正著・淡交社)

こないだ、月並能の記事で「羽衣」の装束を長絹、と書いた後
他の方のブログで、「あれは舞衣ですよー」という記述を読んだので訂正しました。
前後の曲で長絹を着用したから、重ならないようにしたとのこと。
うーん、なかなか奥が深いです。

そんなわけだからじゃないけど、こないだ買った本のご紹介。

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「面からたどる能楽百一番」に続いて、当たりの一冊。
装束の写真って、能舞台が背景のものが多いですが
この本の写真はスタジオ撮影のため、装束がくっきり映えて見やすいです。
観世喜正さんが着用された状態で紹介しているのも、わかりやすくて◎
国立能楽堂に装束展を観に行ったことがあるけれど、
やはり装束は能楽師が身につけてこそ、生きるものだと実感。

喜正さんも結構楽しんで作られた本らしくて、
お気に入り?の曲の解説になると、まじめな文体が突然壊れることが。
『熊野』でいきなりオネエことばになっちゃったり!
  「熊野は(中略)おつむも芸も、いぃー女だったんでしょう」
  「インナーだって、金箔よ」・・・ノリノリですね(^_^;)

数ある装束の中で、目を引くのは観世九皐会で「姨捨」専用の長絹として、
大切に「かしずかれている」という、『白地 廿八宿星 長絹』。
透き通るような白の紗に、銀泥で星座が捺染された装束。
明治期のものだそうですが、昔の職人さんは本当に凄い技術を持っていたんだなあ、
と感心させられました。(鼓の時も同じこと書いてたけど)
きっと、職人さんや、この装束をまとって演じた先人への畏敬の念が
「かしずく」という表現を使わせるのでしょうね。

謡はまだまだ聴き取れない部分が多いし
謡を聴き取ることにばかり集中してると、確実に眠くなるので
もっか、シテの動きやお囃子を楽しんでいます。
もちろん装束のコーディネートもチェックポイント。
配色や柄の組み合わせに、はっとするくらいモダンなものもあって
見てて飽きないです。

私が最後に着物を着たのは
何年か前のお正月に、お寺へご挨拶まわりをしたとき・・・だったかなぁ?
浴衣すら滅多に着る機会がないんですよね(涙)
なで肩なので、どうにか着られるかなーという気もするだけに残念。
まあ、長時間の観能にはワンピースの方がいいんでしょうけど。