3月五雲会(1)

☆三月 五雲会
  能「嵐山」      :シテ 澤田 宏司
  狂言「文荷」    :シテ 山本 則孝
  能「俊成忠度」   :シテ 佐野 玄宜
  能「桜川」      :シテ 金森 秀祥
  狂言「左近三郎  :シテ 山本 則重
  能「藤戸」      :シテ 渡邊荀之助
http://www.hosho.or.jp/nou/2008_03/goun.html


春爛漫ということばがぴったりの一日でした。今回のテーマは「桜」
能楽堂の中は年月を経た檜材の、甘くやわらかい匂いがほのかに漂っていました。
秘伝の方法で花粉症をおさえることにも成功。
観能記事はダラダラ書かないように気をつけてる(つもり)けど、今回は2回に分けてup。


●「嵐山」
 橋掛かりの前に据えられた、二本の桜の作り物が目を引く演出。
 このテのパターンの曲って「神舞物」っていうんでしょうか。
 年末から「絵馬」「弓八幡」「志賀」等々・・・今回でたぶん7曲目くらいかも?
 「志賀」みたいに華やかというよりは、長閑な雰囲気の曲でした。
 後シテ登場のラストまで、ワキ以下お囃子・地謡もずっとゆるやか・春うらら。
 檜効果に、住駒俊介さんの掛け声で気持ちよくショートトリップしかけました・・・。
 間狂言での、舞と抑え目のお囃子は微妙なニュアンスが出ててよかった。
 最後の最後、後シテ登場でいきなり盛り上がって、他の神舞物とは違う感じの舞台でした。


●「俊成忠度」 
 前シテがなくて、いきなり忠度の亡霊が登場するという変わった(?)曲。
 「忠度」と違って、無念を訴えたい本人(藤原俊成)が存命しているから
 忠度、老人に変身するなんて面倒くさいことは省いちゃったんでしょうか?
 こういうストレートな曲って好きです(笑)
 「平家物語」の忠度は、勇壮さと優雅さを併せ持つ大人の男性、というイメージだけど
 この忠度は男性的でありながら、やわらかさの方を強く感じさせました。
 面は清経や敦盛などの公達顔より、やや年嵩の面を使っていたのでしょうか?
 先入観はいけないと思いつつ、「女郎花」「西王母(仕舞)」で観たお父様に、
 横を向いたときの姿や、やわらかい雰囲気がよく似ているので驚きました。
 終盤の足拍子もばしっ!ときれいに決まって、見所の気が緩む前にシテ退場。
 いい意味での緊張感が漂う、さわやかな舞台でした。
 

●「桜川」
 コンタクトも乾き始め、眠くなる三番目物は、ファッションチェックに限ります(^^;)
 シテの装束は、水衣の下にマットな感じのシャンパンゴールドの摺箔、
 縫箔はカーキの地に流水文様と花の意匠で、桜を掬う物狂いを表現しているんですね。
 扇は、金泥の地に濃紺の雲(?)&草花の絵柄に見えた。狂女扇っていうのかな。
 さっきの俊成忠度は入日の負修羅扇。
 最近は装束や扇の意匠にも気をつけて観るようにしています。
 ワキ僧は「もしや桜子のママでは?」と疑いつつも、
 わざと気づかないふりをしてるんだけど、物狂い=芸としてみると、
 酷い仕打ちというよりは、「芸のお礼に子どもに会わせてあげるよ」
 というような駆け引きを感じさせました。

(2に続く)