6月 五雲会

☆6月 五雲会
・能「加茂」
  シテ:和久荘太郎
  天女:田崎甫
  ツレ:藪克彦
  ワキ:御厨誠吾 /ワキツレ:梅村昌功  高井松男
  間 :吉住講
  笛 :小野寺竜一 /小鼓:森澤勇司 /大鼓:飯嶋六之佐 /太鼓:大川典良
  地謡:大友順  小林晋也  佐野玄宜  富山淳司 
     山内崇生  田崎隆三 亀井保雄  水上輝和    
  後見:宝生和英  武田孝史   

狂言「仏師」
  山下浩一郎  野村扇丞

・能「高野物狂」
  シテ:金井雄資
  ワキ:殿田謙吉
  子方:植島幹登
  間 :野村万蔵
  笛 :一噌隆之 /小鼓:観世新九郎 /大鼓:亀井忠雄
  地謡:小倉健太郎  渡邊茂人  高橋憲正  辰巳大二郎
     今井泰行   前田晴啓  寺井良雄  小倉敏克
     後見:高橋亘 富山孝道

・能「籠太鼓」
  シテ:辰巳満次郎
  ワキ:高井松男
  間 :野村扇丞
  笛 :関川順一郎 /小鼓:住駒充彦 /大鼓:佃良太郎
  地謡:野月聡  小倉伸二郎  澤田宏司  東川尚之
     東川光夫 佐野由於   渡邊荀之助 朝倉俊樹
  後見:金森秀祥 佐野萌  

狂言「梟山伏」
  吉住講  野村万蔵  高部恭史

・能「鵜飼」※
  シテ:内藤飛能
  ワキ:野口能弘 /ワキツレ:野口琢弘
  間 :山下浩一郎
  笛 :寺井義明 /小鼓:幸信吾 /大鼓:高野彰 /太鼓:三島卓
  地謡:水上優  辰巳孝弥  亀井雄二  佐野弘宜
     佐野登  中村孝太郎 登坂武雄  大坪喜美雄
  後見:藤井雅之 小林与志郎  
(※鵜飼はパスしました)


今朝は目覚ましが鳴ると同時に飛び起きました。
ついに来ました 満次郎様の日☆
おニューのワンピ&お化粧もバッチリ決めました(←なぜだ)

「加茂」
こないだ修能会で観たばかりの曲。
ピッチ高めな観世を聴いたばかりなせいか、最初は低くまったりして
聴えた宝生の謡ですが、今度はその低さがだんだんしっくりくる感じです。
宝生流の天女は、年末~3月まで毎月何かの曲で観て、お腹いっぱいでしたが
こうして久々に観ると可憐でたおやかな風情で、いいですね~。
お囃子は、今日の方が歯切れよくすっきりシャープな感じでした。
雷神が登場する場面での、拍を効かせた地謡とお囃子がかっこよい♪(ボキャ少なすぎ)
地謡の二拍目にアクセントを置くと、謡に高揚感が生まれるのかな?以上、本日の発見。

「仏師」
都のすっぱ(小悪党)が、仏像になりすまして買い手の田舎者を騙そうとする話。
おかめの面をかけた仏像のポーズが、だんだん「パタリロ」になってきて見所は大ウケ。
野村扇丞さんて、いわゆる美声というより声の表現力が印象的な方ですね。
どこかで聴いたお声だなーと思ったら、金沢の「観能の夕べ」で
「鐘の音」に出てた方でしたね。「籠太鼓」の太鼓を<声>で打つ場面で思い出した!
あー俊介さんの時と同じパターン・・・。一度聴いたお声は忘れない私。

「高野物狂」
男性にも物狂ってあるんですね。はじめて知りました!
感想は・・・・・・永久に続く曲かと思いました(^_^;)

「籠太鼓」
本日の眼目!
でもパンフに、「かごだいこ」の上から「ろうだいこ」って修正シールが~~(笑)

殺人を犯して脱獄した夫の代わりに、牢(籠)に入れられる妻の役が満次郎さんです。
今まで観たのが「芦刈」「小督」「鉄輪(仕舞)」だし、あのお顔だし、
辰巳満次郎といえば、私の中では「直面で勝負できる男!」でした。
その満様が女性の役?しかも牢屋に入りっぱなしなの?ドキドキわくわく!

装束は上品な金色の摺箔の上に、金色×渋い藍色の段に茶系の花模様が入った唐折。
上体をやや丸めて腰を落とした姿勢のシテ方が多い中、
満次郎さんは背筋をややまっすぐ伸ばす方で、きりっとした装束との相乗効果で
役人の恫喝にも動じない、毅然とした女性の内面を表しているように見えました。
夫の行方を自白させるために、一刻ごとに籠の外で太鼓を打つというプレッシャーを与えても、
自白どころか、物狂いになって逆に役人を動揺させちゃう始末。強い!というか強すぎます。
牢から出されても、自分から再び入って「この牢出づることあらじ」って言うんだよ。このヒトは。
シオったところで ちっとも全然かわいそうに見えません(^_^;)
夫を想う妻の真情に打たれて(というよりヘキエキして)、役人は妻を解放。
満次郎さんは夫のいる(はずの)大宰府の方へイソイソと向かっていくのでした。

物狂いの舞は、急→緩へ切り替わるほんのコンマ何秒、動きを止めるのだけど、
その「無」の瞬間に無限の動きが凝縮されているようで、目が離せませんでした。
満次郎さんの舞は、動きの止まった瞬間が息を呑むほど美しい!
扇をかざす手の動き、足の運びも、女性の役だから動きはかなり抑制されているのに
でも、体のキレがよくなければ、あんな完全にコントロールできないんだろうなあ。
謡のお声も、抑制の効いた美しいバリトン。(声のきれいな男の人が好き♪)
強いといっても単なるしたたかなオバサンじゃなくて、
己の信念を貫き通す強さ、逆境にも誇りを失わない毅然とした美しさ、
みたいなものを満次郎さんのシテには感じます。「芦刈」もそう。
ちょっと大げさかなー?
久しぶりに きりっとひきしまった舞を見せていただきました!

(以下、延々と続くので省略)