こないだの五雲会は、
やっぱりというか当然というか満様祭りになってしまい、
ほんとは『梟山伏』まで観てたのですが、ついすっ飛ばしてしまいました。
(演者のみなさんゴメンナサイ)

山でおかしな病にかかった弟を治してくれと、兄が山伏に祈祷を依頼する。
これは梟が憑いたのだと山伏は懸命に祈祷を続けるが、兄まで憑かれてしまい、
山伏は兄弟に打ち倒されてしまう。そして・・・起き上がった山伏も「ホッホウ」・・・。

『梟山伏』って、大蔵流では『梟』だそうですね。
去年の8月の夜能で 大蔵流の舞台を観てるんですが、
大蔵流では、最後に起き上がった山伏がたったひと声、奇声を発して終わり。
和泉流は、山伏は幕までずーっと鳴きながら退場していくのですが
大蔵流の方が、すっきり且つ不気味な印象が残りました。

最初「オレが祈祷して治してやるから!」と
威張りくさっていた山伏が梟の毒気にやられていく様子が、
なにかの権威が自然の力の前に、敗れ去っていくように感じられて。
山伏の去ったあとには、夜の森の闇が広がっている・・・そんなラストでなくては。
面白おかしいだけが、狂言じゃない。

夜能の直後、信州戸隠の「戸隠神社」に行ってきました。
神社近くの「ランプ」で、『梟』の話をしていたらマスターが
「その曲なら、こないだ神社の薪能でやりましたよ。いろんな意味のある曲みたいですね」
あの神社で、夜『梟』をやったら、じわーーっときそうだなと思いました。
戸隠神社は知る人ぞ知る日本有数のパワースポットで、神話だの伝説の宝庫だそうです。
あの環境なら、梟に憑かれるくらいありえそう。

父が、この辺に泊まってみたいなどと言い出しまして、民宿情報を聞いてましたが、
ああそんなところに泊まったら

・・・夜中に窓開けたくなっちゃうじゃないか。

本物の、夜の闇を見たくなって。

それこそ梟にとり憑かれてしまうかもしれません。