NHK交響楽団 定期公演(6月 Cプロ)

N響 6月定期公演(Cプロ)
  ラヴェル / スペイン狂詩曲
  フォーレ / 組曲ペレアスとメリザンド」作品80
  レスピーギ / 交響詩「ローマの松」
  レスピーギ / 交響詩「ローマの祭り」
  指揮|マッシモ・ザネッティ


開演15分前、化粧室にて。オバサマがたの会話。
「E席(自由席)はもうダメよ。今日は学生さんが大勢来てるから」
「あら、なんで?」
レスピーギよ。ほら、なんていったかしらねえ、そうそう、『ローマの森』!

・・・・・・オバさま、ローマに森はございませんっ(^◇^;)

てなわけで、今日は学生ばかりか制服姿の高校生も目につきました。
きっと夏の大会前に、お手本聴きに来たんだね。なつかしー。

ザネッティ佐藤浩市そっくりの髪型にもかかわらず(笑)、
明るく爽やかなタクトに派手な演出で、若者が満足できる好演だったのではないでしょーか。
何より、オケのサウンドが若々しくなっているのに驚かされました。
最初の「スペイン狂詩曲」は、出だしの弦のニュアンスが絶妙でこれは!と思いました。
『夜への前奏曲』が、なにかが起こりそうな予感を感じさせる終わり方で、
初夏の宵の雰囲気にぴったり。オープンテラスで、ドライのチンザノでも飲みたい気分。

ただ、その明るさがフォーレではアダになったという感じ。
暗い森のなか、泉のほとりで出会ったメリザンドと結婚する兄・ゴロー。
メリザンドと会った瞬間、彼女に自分と同質のものを感じ取った弟・ペレアス。
素性も、本当にペレアスを愛しているかどうかも曖昧な謎の美女・メリザンドをめぐる
王族の兄弟の悲劇・・・にしては、翳りがなさすぎる気がしました。
『糸を紡ぐ女』では、退廃的な魅力が足りない!健康的すぎ!!
そんな中、『シシリエンヌ』のフルートのソロ(神田さん)は、すばらしかったです。
クセのない澄んだ美しい音色は、泉のほとりに咲いた一輪の白い花のよう。
神田&細川の木の笛コンビは、今日もやわらかく絶妙なコンビネーションで
案の定、指揮者に指名されて拍手を受けていました。
神田さんと細川さんは、幕に入るギリギリまで楽しそうに話しこんでいていい雰囲気♪
木管セクションには美味しい曲ですね。横川さん(クラリネット)のけだるいソロも◎

で、本日の眼目(たぶん)、「ローマの松&祭り」
フルート吹いてたくせに、ローマシリーズまともに聴くのは初めてです。
いやはや、華やかな曲、というかド派手な演出でしたねー。
トランペット部隊を、3FのRサイドで吹かせたり、鳥の声を入れてみたり。
学生オケやブラバンの子たちには、さぞかしウケる演出でしょう。
ローマより鏡板の松の方が好きな私としては、こおゆう演出はシラけちゃうのですが。
演奏そのものは、さっきのラヴェルの世界をパワーアップさせた感じで
華やかでメリハリがあって、夏にふさわしい明るいものでした。
ただ、ラヴェルの方が演奏の密度が高かった気がしました。

明日もう一度同じプログラムを演奏すると、N響定期公演は夏休み。
私の舞台通いも、今日で一段落・・・来月がちょっと寂しいかも(T T)