フォーレの夜想曲第12番

この1年間で 間違いなく一番よく聴いた曲。

夜想曲、といえばショパンのそれが有名ですが
近代フランスの作曲家、ガブリエル・フォーレ(1845-1924)も
その作曲活動のほとんどの期間を通して、13曲の夜想曲を書いています。

作曲家人生とほぼ重なる時期に書かれただけあって、
全曲通して聴くとフォーレの作風の変遷がはっきり見て取れます。
初期の甘く夢見るような1番~4番
中期の見果てぬ夢への憧れと諦観のただよう官能的な5番~8番
そして極度に内面性が高くストイックな晩年の9番~13番

ライナーノーツなどを読む限り、円熟期の6番と最晩年の13番が
傑作といわれることが多いようですが、
私の好みは7番、10番、そして12番。
10番以降は、いかにもフォーレ・・・な甘美さがほとんどうかがわれず、
音域もテクニックもギリギリまで抑制されているものの、
焔が燃え尽きる直前の、最後の輝きのような情熱を感じて気に入っています。

特にこの12番は、転調やテンポの変化を繰り返しながら
翳りのある旋律がうねるように上昇していく、かなり個性的な曲で
ハイドシェック、ユポー、コラール、藤井一興、ドワイヤンのCDを
せっせと買い漁って聴き比べをしたものです。
といっても、こういう「音楽鑑賞ネタ」は読む方は聴かない限り
どんな曲(演奏)かわからないのが心苦しいところ・・・。
最近、私と同じコトをしている方のサイトを見つけましたので、
興味のある方はこちらをどうぞ。


もっか、私のお気に入りの「12番弾き」は
若々しい情熱(録音当時)と独特のゆらぎ感を持つハイドシェック
抑制のバランスが絶妙なユポーも捨てがたいですが、
フォーレの官能性はハイドシェックの方がイメージに近い気がします。
かなり個性の強いピアニストなので、好き嫌いがはっきり分かれそうですが。
ハイドシェックは「フォーレ・リサイタル」なるCDも出していて、
こちらもオススメです♪