ある休日(1)-番外舞囃子と仕舞を観に

珍しく湿度も低く涼しい一日。
能の発表会に行ってきました・・・終盤の番外舞囃子&番外仕舞(だけ)を観に^_^;

本日のお目当ては、
・辰巳満次郎様の番外舞囃子「賀茂」
・渡邊荀之助氏の番外仕舞「葵上」
(ナゼ満次郎様だけ「様」なのかって?・・・聞かずもがなです^^キッパリ)
早めに会場入りして正面席を確保してから、ふらふら~と外出。
行き先については、(2)で詳述。

今日の会はちょっと変わっていて、なにげなく番組表の最終ページを見たら、
「『打ち上げはピラミッド網焼き黄金盤振る舞い』です」
・・・??焼肉?BBQ?なんかスゴイところに来ちゃったかも・・・。
まあ、別に何も聞かれることなく出入りしましたけど。

話は戻りますが、能楽の世界ですごいなーと思うのは、
素人の発表会に玄人のワキ、囃子、地謡が共演すること。
クラシック音楽なら、プロオケの楽員が共演するようなものでしょうか?
伴奏ピアニストならともかく、例えばN響の楽員が伴奏するなんてありえないことです。
能楽堂に戻った時間が早かったので、お素人の半能(後場だけ)も観たけど
本物のお能並みに、ツレ、ワキ、お囃子、地謡8人・・・全員玄人なのにはビックリ。
シテをつとめた女性の方は、かなり稽古を積んでいる様子で
趣味の範囲を超えてましたね・・・お金も相当掛かるんだろうなあ(つい形而下的な発想)

待ちに待った番外仕舞は
最初に山内崇生さんの「松風」。端正な雰囲気の方でしたね~。
絽の紋付がよく似合う、涼しげで汗なんかゼッタイかかなさそうな松風です。
松風って(能では)まだ観たことがないなあ・・・井筒ばりに長い曲らしいけど。

次は、いよいよお待ちかねの「加茂」。
満次郎様、黒紋付からアイスグレーの着物&ブルーグレーの袴に着替えて登場。
すこし貫禄がおつきになったみたい・・・(余計なお世話)
でも、それはそれはカッコイイ別雷神でした!!
私の好きな、満次郎様の足拍子はまさに「いかづち」のよう。
高い跳躍の間に、空中で足拍子を踏むような動きがあったけど
着地しても音がほとんどしないばかりか、上半身がビクともしない!スゴイ!
空中を自在に跳躍し、地上に一陣の涼と恵みの雨をもたらす爽快な雷神様です。
空気が一気に明るく色づいていくような舞台で、
満次郎様が扇を畳んだ瞬間、周囲から声にならないため息が。

そして、結びの一番は「葵上」。
地謡はこの曲が一番きりっとまとまっていて聴きやすかったです。
荀之助さんは非常に抑制の効いた、やや硬質な表現で
気高い御息所が悲しみと屈辱を限界まで抑えてこうなっちゃったんだ、
という感じが伝わってきました。
たまたま前回見た舞台が「藤戸」だったせいかもしれないけど、
こういう「内にためたエネルギー」を感じさせる方って、結構好きです。
嫉妬特有のジトーッとした感じがないのも私の好みに近いかも。

余談ですが、帰り道は傘が役に立たないくらいの雷雨でした。
おかげでおニューのスカートが、さっそくクリーニング行きだあ~(T T)
満次郎様ったら、ホンモノ呼んじゃったのかも・・・・・・。

(この舞台を教えてくださった方、本当にありがとうございます)