ある休日(2)-NIPPONの夏/三井記念美術館

さて、能楽堂で席を確保してから私が向かった先は


NIPPONの夏-応挙・歌麿北斎から「きもの」まで-
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私の好きな応挙の「青楓瀑布図」が展示されているのが
10日までの前期のみ、ということを前日の晩に知り、これはぜひ観に行かねば!と思い立ったのでした。
幸い、水道橋から三越前までは地下鉄を乗り継いでも
20分足らず。
二時間もあれば充分鑑賞して戻れる距離なのが幸いしました。

三井記念美術館は、1929年に竣工された三井本館の
7Fにあります。
重要文化財である同館は、現在も三井住友・中央三井信託のオフィスとして使用されています。
実は私、数年前の夏にここで商談したことがあるのですが、3Fの吹き抜けまでエアコンが通らず、うちわを扇いでいる行員さん多数。
重要文化財だけど、夏冬は大変なんですよ~」の由。
あ、美術館は涼しいですよ(念のため)。オフィスも改善されてるといいですね^^

美術館は、三井コレクションを常設した展示室1・2(元役員食堂)と
企画展用とおぼしき展示室3~6から成ります。
この展示室1・2は「華麗なる一族」のロケにでも使えそうな重厚な空間で
そのへんの角から万俵大介頭取が出てきそう!
実はこの展示室1・2こそ、三井記念美術館の真骨頂というべきで、
三井家が代々蒐集してきた茶道具を国宝6点、重要文化財71点所蔵しているそうです。
お茶に興味のある方には、垂涎モノであろう楽茶碗がゴロゴロしてました。
(併設のカフェではお薄を楽しむこともできます)

ザ・華麗なる一族パワーに圧倒されまくった後で、やっとNIPPONの夏です。
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エアコンはもちろん氷だって手に入らない江戸時代、
当時の人たちが視覚や触覚から涼を得て、夏の風情を楽しむ工夫をしてきた様子を絵画や着物、装飾品や玩具を通して追体験しよう、という面白い企画です。
似たような企画としては、昨年夏のサントリー美術館
「水と生きる」展があって、今回はサントリーから借りてきたものが多数ありましたが、独自のコンセプトを打ち出そうという三井側の意気込みが感じられました。

この「青楓瀑布図」サントリーの所蔵品。
3m超の大作で、画の前に立つだけで水煙に包まれているような錯覚に陥る、いかにも応挙らしい作品です。
滝の作り出す水壁とか、ひんやりした墨のような岩の質感を疑似体験できて、観ているだけで涼しくなりそう。

あ~、会期終わった作品を紹介するのってフェアじゃないですね。
(「1日限定30食」のラーメン屋の30人目が、後ろの人に自慢するようなものかも)

観て楽しかったのは、着物やかんざし・笄などの装飾品。
鼈甲の櫛の中央部分をくり抜いて「芦」と「雁」の絵柄を彫ったガラスをはめ込んだ
「芦雁図ガラス絵鼈甲櫛」とか、
素材は夏の絽でも、秋の草花を意匠に用いることで
爽やかさと季節先取りの粋をねらった納戸色の「納戸絽地秋草模様単衣」とか。
御簾に夕顔の実のモチーフ、という「源氏物語」を連想させる絽の単衣もありました。
能の「夕顔」「半蔀」をイメージして作らせた女性がいたのかもしれません。

満次郎様の番外舞囃子に遅れちゃマズイので
今回はカフェの白玉ぜんざいはあきらめましたが、次は絶対味わってくるんだ~。
1Fには千疋屋もあるから、デートor女同士のお出かけにいい場所かも。
母を誘ったら喜びそうだなあ。

そんなわけで、

「一粒で二度おいしい」日曜日でした♪