田中正造のカバン

女性は 大ざっぱにいって2つのタイプに分けられると思います。

いつも大きなバッグを持ち歩く女性と
極力、小ぶりのハンドバッグですませようとする女性と。

私は後者ですね~。
外出時の私物は宇宙飛行士の機内持込並みに少ないかも・・・。
お財布、ケータイ、化粧ポーチ、文庫本1冊くらい。
ちなみにケータイには うるさいのでストラップはつけていないし、
お化粧ポーチの中身も最小限です。
(職場にマスカラ&ビューラー、化粧直し用の化粧水等置いてるけど)

前の会社で外回りの仕事をしてた頃、
毎日資料だの展示会用のノベルティを持ち歩いていて、
直行・直帰や出張もそれなりにあったので
私物をムダにたくさん持ち歩くのはタイヘンだったから・・・かもしれません。
私は撫で肩の肩コリ持ちなので、重いショルダーバッグは苦手だし。
いや、それ以前に性格によるのかなあ?
大きいバッグをかき回して物を探してる女性を見ると
「そんなにたくさん必要なのかなあ?」と(イヤミではなく)不思議に思ってしまうので。

だから、ときどき男性ってラクそうでいいなあ~と思うのです。
もっともオトナの男たるもの、手ぶらで通勤ってワケにはいかないだろうけど。

先日、元同期の男性Aがひとこと。
「さすがに手ぶらはどうかと思うから、カバンに日経くらいは入れてるけど
 本当は財布、ケータイ、ポケットティッシュですむんだよね」
そしたら、隣のBがすかさず
「お前、田中正造みたいなヤツだなあ~」
「はあ?田中正造ォ??」一同きょとん。

田中正造とは、足尾銅山鉱毒事件の反対運動で有名な明治時代の代議士ですね。
Bによると、反対運動に財産を使い果たした田中正造は死んだ時には無一文で、
死亡時の全財産は「信玄袋ひとつだけ」だったそう。
高校の国語の教科書に田中正造の伝記が取り上げられていたとのこと。

「高校の国語の教科書だと、『中身は書きかけの原稿と新約聖書、鼻紙だけであった』
 って文章で終わるんだぜ。清々しいよな。そのまんまオマエのことじゃん。」
「Bに言われると誉められた気がしない・・・」と、憮然とするA。

そういえば私も 2年の教科書で読んだような記憶が・・・。
ラストのその一文は、本文中のどのエピソードより(明治天皇に直訴したとか)
公害反対運動に生涯を捧げた田中正造の姿を雄弁に物語っていた、印象がある。
しかし、Bもよくそんな昔の教科書おぼえてたよね。

その晩もちっちゃいバッグ一つで参上した私だけど
究極の「モノ(私利私欲)持たぬ人」にはかなわないな~と思ったのでした。