宝生会 六月五雲会

「石橋」観てきました~☆
これで宝生の披き物シリーズ(石橋、道成寺、乱)は一応ひととおり制覇したことに。

ただでさえ披き物がある日は、早めに席取りしなくちゃいけないのに加え、
今月は大坪喜美雄・金井雄資のおシテ、しかも三番目の間狂言には野村萬斎の名前が!
これじゃ全然サボれないじゃん!・・・と欲張った報いでバテ気味~(*o*)
なので、番組表は宝生会のHPでご覧くださいまし~。

休憩時間のロビーでは、石橋のおシテが知人友人に挨拶をしたり花輪の前で記念写真を撮っておられました。すごい余裕~!私だったら緊張のあまり楽屋にこもって柔軟体操していそう(笑)


「呉服(くれは)」
今日のおシテは、こないだの袴能「松風」での村雨が記憶に新しいこともあって、この初番は張り切ってスタンバイしてました。
・・・が、橋掛かりでのツレとの謡は生彩を欠き、何かが違う雰囲気です。やがてシテとワキの問答に入って、まさかの、そして長い絶句。後見(渡邉荀之助さん)のフォローが思いのほか長く続き、微妙な空気が流れました。
今までにもシテ(それもベテラン)の絶句は何度か直面していたものの、いちいち書くほどのものでもないと思っていましたが、今日のは・・・体調を崩されていたのでしょうか。
地謡、囃子も微妙で、いつになく長く感じられた舞台でした。


「通盛(みちもり)」
「清経」と並んで夫婦の純愛をテーマにした叙情性の強い修羅能です。
清盛の甥である通盛は、八島の合戦で活躍した弟・教経と異なり文弱で、平家物語を読む限り、武将としては大した人物ではないけれど、能ではかなり美化されていて「勇壮な最期」を遂げたことになっています。
この通盛&小宰相局のカップル、前場で手に手を取り合ったあと舟から身を投げたり、後場でじっと見つめ合ったりして、お能には珍しくストレートな表現。おシテは安定感のある大人の男性の雰囲気で、こうした場面が品よく見えました。幾何学的な車輪のような丸紋をあしらった紅白段違いの厚板に、箔押しを施したブルーグレイの法被を重ねた装束もセンスよく、このおシテの雰囲気によく合っていたと思います。定石の修羅の苦患も無駄な力の全くない、すっきりした舞でした。


「雲雀山(ひばりやま)」
このへんで私の集中力が途切れてきて、萬斎一行の鷹狩りを見送った後は も~だめ。
ごめんなさい。。。


「石橋(しゃっきょう)」
待ちに待った石橋(観能)デビュー♪
お約束通り、正先に紅白の牡丹の樹を植えた(?)ハデハデな一畳台が置かれます。さらにもう一枚、鉤手に一畳台をならべて「石の橋」。
披き物だから全員裃姿。私の位置からは地謡前列の満次郎様もバッチリ見えます♪また一段とキリリとした雰囲気で、なかなか・・・(以下自主規制)
舞台が中国(唐)だからか、ワキ僧・殿田謙吉さんの頭巾もメタリックシルバーで華やか。何千丈もの深さの断崖絶壁に架かる幅一尺の石橋・・・それこそ「白髪三千丈」的な場所に、不思議な雰囲気の童子・げんさんが現れます。パンフレットを見るまでツレは赤(子)獅子なのかと思っていたのですが、前シテに相当する童子がツレの げんさんのお役なのですね。面をかけているとは思えないクリアな謡で、殿田さんの大音量にも負けちゃいません。もともと雰囲気がやわらかい方ということもあり、この童子の雰囲気に合っていたと思います。
ツレが幕の向こうに姿を消した途端、それまで静かに控えていた囃子が炸裂!いつもは端正な雰囲気の小鼓方・森澤勇司さんまで獅子になって咆哮しています~カッコイ~♪(^0^)
囃子が吼えてる間、幕が半分上がってシテの姿が見えますが、幕が降りると同時に囃子も静かになり、張り詰めた静寂がしばらく続いて、今度は幕が勢いよく上がると同時にシテの登場です。
この場面のお囃子(特に笛)は京劇のチャルメラみたいなカン高く中国っぽいメロディで、シテも日本の獅子舞と京劇の男役を足して二で割ったようなスピーディーな動きで目が離せません。赤頭をぶん!と降って前髪(?)が逆立った様子なんて本当にライオンっぽいし、白牡丹の樹の下枝に足を掛けて周囲を見渡す型も、ああ獅子ってネコ科なんだな~と再認識(やまねこには出来ないことばかり~)。
披き物シリーズの最初がこの曲というのも納得の、運動能力&技術の高さが問われる曲で、「乱」のレベルの高さに改めて気づかされます。
正午に始まり終演は6時半という長丁場でしたが、疲れも吹っ飛ぶような鮮やかな「石橋」でした。


<本日のおまけ>
休憩時間にチラシコーナーを物色していたら、「ちょっと失礼します」と横から黒紋付の腕が。
右を向いたら・・・・・・な、なんと、あのお方!!!!!
続いて同じチラシを抜き取ったのは言うまでもありません(^◇^;)