塩津さんの能楽体験講座

タイトルの通り、塩津哲生&圭介の能楽体験講座に行ってきました。
今まで体験講座には行ったことがなかったのですが、今年は「修能会」プレ講座にも行ったし
たまにはこういう企画に参加してみるのもいいかな~、と。

こういう企画は、「お能は初めて~」という人たちが来るのかと思いきや、予想に反して参加者はお稽古経験こそないものの、すでに何度もお能を観ている方ばかり。
最初に、塩津さんは「みなさんはこの講座に何を求めていらしたのですか?」と
一人ひとりのそばに来てお聞きになるのですが、おおむね「観るだけじゃなくて自分でも型を体験してみたい」など目的意識ははっきりめ。中には「ハコビを体験してみたい」と具体的にリクエストされる方もいらっしゃいました。

当初は「そもそも能とはなんぞや」的なレジュメを用意していたお二人は、そこで予定を変更し
イントロをばっさりカット。
実演は塩津さん・主な説明は息子さんの圭介さんが担当。塩津さんが型を二、三実演し、「今の型は何を表現していると思いますか?また、どのように感じましたか?」と質問。そこから「能は『観る』ではなく、『感じる』もの」というお話になりました。

・「この型はこういう意味」「この詞章の意味はこう」「この決まりごとは」といった知識だけのスケールの小さい観かたではなく、「今の型は何を表現しているのだろう」と想像力をはたらかせて感じ取ってほしい(by圭介)
・「能楽師がこれはこうですよ、私はこれを表現したいんですよといちいち説明するような舞台は能じゃない。能に限らず美術品なども、本当にすばらしいものはおのずから内面を物語るもの。内面から出てくるものを感じ取っていただきたい」(by哲生)

舞台での静かな印象とは異なり、塩津さんはなかなか熱い方のようで(笑)、ご本人いわく「話し出したら止まらなくなる」のだそう。
「気」についての説明も、「道成寺」を観た私にはとっても納得でした!

そして、いよいよ体験コーナー。

お能の基本姿勢(前傾で立つ姿勢)&シカケ(観世流ではサシコミ)の体験は、
う~~ん、舞台でキレイに見えるためには、やはり必然的に「摺り足」になるんだなあ、と。
前傾姿勢をとることで丹田に緊張感が入り、全身がきりっとしたような?気がします。
もしお稽古したら、自分の身体感覚を通して舞台を観る、という視点を持てるかもしれません。
最後にリクエストで小面をかけてハコビを体験してみましたが、意外と視界は広い!
それでもまっすぐ歩くのはともかく、重心や方向感覚を保つのが難しく、ちょっと怖かった。
こ、この状態プラス装束つけて「道成寺」の鐘入りとか、「石橋」やっちゃうんですか~!
やっぱりプロはすごい!ヒョエ~ッ!(←なにをいまさら)と、あらためて感心した私でした。

塩津さんは新潟市でも毎年「能楽講座」シリーズを開催されていて、回を追うごとにお能への興味が深まるよう工夫をしたカリキュラムが好評だそうです。今年度は講座の最後に「黒塚」の上演も予定されているそう(ちゃんとした舞台です)で、うちの母なんか講座のあった晩は必ず長電話をかけてくるのです(^_^;)
確かに短い時間ながらメリハリのある内容で、これからは型にも注意して観てみよう!
講座終了後、あつかましくも塩津さんにご挨拶して、瞳に星を浮かべていた私でした・・・(^◇^:A

え?お稽古しないのかって?
それができてたら、とっくにしてますがな~~。