DVD「大和秦曲抄」

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あちこちのお能鑑賞ブログで話題になっていましたが、遅まきながらやっとUP。
夏休み中に下書きした記事を校正しております(DVDは先行予約割引で買いました♪)

ふつう、お能のDVDというと舞がつきものですが、このDVDは「謡と囃子」だけ。
マニアックな内容だけど、その分お能のエッセンスがぎゅっと凝縮されています。

内容は二部構成で、第一部が「大和の神々」と題した、翁、神舞など神様関連の曲、
第二部は小鼓、大鼓の一調のみの「謡と鼓の世界」。以下、詳しくはこちら

居囃子や一調なんて、ふだんの公演ではちょこっとしか聴けないのですが、
大倉源次郎が総合制作をつとめているだけあって、お囃子の面白さも堪能できる内容。
特に「翁」なんて、滝が流れるように原初的でいながら磨きぬかれた音に引き込まれました。
源次郎の鼓は何度も聴いていたものの、あの美貌が災いして幾分割り引いていたのですが
彼の凄さにようやく気がついたかも・・・(今さら)
あの少し割れた鋭い声が「翁」の雰囲気に本当にぴったりで、来年の「翁」は源次郎で選ぼう!
と思ったくらいでした。源次郎は烏帽子&素襖姿も似合いそうだし~♪(←結局そーなる)

謡は、観世流からは梅若玄祥宝生流からは辰巳満次郎が出演していて、
私はもちろん満次郎様お目当てで買ったのですが、玄祥率いる観世も聴き応えがあり、
玄祥が満開の桜ならば、満次郎様は菖蒲といった印象。
だって満次郎様の「勧進帳」のすぐ後が玄祥の「三井寺」ですよ~!心憎い曲順だよこれは。
全体をさっと聴いた印象では、両流のカラーがよく出ていた選曲だったと思います。

あと、意外と(失礼!)ダークホースだったのが辰巳孝弥さん。
「野守」の満次郎様の謡い出しは、声を発した瞬間に目の前に大きな柱ががん!と建てられたような圧倒的な存在感でしたが、それを引き継ぐ孝弥さんの謡が満次郎様に生き写しでびっくり!
「えっ、このトラフグみたいな人が やまねこの『満次郎様』なの~?」
などと無礼千万なことをのたまっていた母も、
「この若い方、お若いのにすごいわね!(満次郎様の)息子さん?」
と感心しておりました・・・(^_^;A ベテランの地謡勢を続けて聴いた後でも聴き劣りしない、しっかり謡いこんだ声で、この方の「項羽」や「石橋」も拝見していますが、正直いってここまで満次郎様に似ているとは思いませんでした。身体能力の高さは「石橋」で確認済みなので、「道成寺」の披キも拝見したいと思います。

それにしても、見所からは見えにくいけれど謡ってすごい体力使うんですね~。
満次郎様のお顔のアップ、額にくっきり青筋が浮きあがり、紋付の襟がみるみる汗で染みていくのがバッチリ映っていました。目の前に立ったら、声の圧力で吹っ飛ばされるんじゃないかと思ったほどです。
DVD鑑賞中に同席していた実家のワンちゃんは、「翁」のときは部屋の隅に下がってたけど、
満次郎様が謡っている間は完全に顔を隠して伏せてしまいました・・・(^◇^;)
恐るべし、満次郎様の謡パワー!