「三保谷硝子店101年目の試作展」

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六本木のAXISギャラリー杉本博司のガラス作品が展示されているというので
このあいだの祝日、またまたキンチョーしちゃうエリアに行ってきました。

保谷硝子店は国産のガラスが産声を上げて間もない1909年(明治42)に創業し、
今年で100周年を迎えました。
その家業の転機となったのは1970年代、デザイナーの倉俣史朗の案件が持ち込まれたことで
デザイナー御用達としての三保谷硝子店の名前が広がります。
有名なものでは、そうですね~東京証券取引所のガラスのブースといえば
ああ、あれか~という方もおられるかもしれませんね。

この企画は、そうして培われた三保谷硝子店の技術力を駆使して、大御所から若手までの
16名のクリエイターのガラス・デザインの新たな表現に挑むというもの。
建築やデザイン関係に興味のある人なら必見のイベントです。

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外苑東通りアクシスビルに行って驚いたのは、それほど広くないギャラリーに
20~30代がひしめいていたこと。
小規模な展示ながらいずれも密度が高く、ガラスのなめらかな表面やヒビの質感、
ライティングによって生まれる 水が揺れるような光と影の移ろいにうっとり。
ガラスという素材の表現の可能性に挑む、職人さんの高い技術を感じさせるものばかりでした。

杉本博司の「遠目の透明」は、ガラスのパネルの中に砕いた光学ガラスをぎっしりつめたもの。
杉本博司、ガラスと聞いて頭に浮かんだのは、直島の護王神社本殿のガラスの階(きざはし)。
空気より透明度が高いといわれる光学ガラスの階も、やはり三保谷で作ったものでした。
ガラスの透明感という点では、16作品の中でも存在感が抜きん出ており、
厳冬の金沢21世紀美術館に持っていって冬の光を浴びさせてみたい・・・と妄想。

保谷硝子店の沿革コーナーもなかなか面白く、
会社としての三保谷の歴史は70年代以降の商業デザイン史とほぼ重なっており
現在目にする店舗ディスプレイや建築デザインのほとんどが、80年代~90年代前半に
ベーシックなものは確立していたのだな~と実感。
90年代~ゼロ年代世代の私は、こうした形でしかバブル時代(の残影)を見られないのだけど。
斬新さや技術力では すでにピークに達してしまった観のあるガラス・デザインに
それでもあくなき挑戦を続ける職人魂を感じられる企画でした。

会期は11月8日(日)17:00まで。入場無料です。
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