能面&装束展をハシゴ!①-「能面の心・装束の華」(根津美術館)-

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根津美術館サントリー美術館で開催されている、能面&装束展をハシゴしてきました♪
まずは表参道の根津美術館へ。新装開館記念企画も本展示で第6弾目。
根津コレクションの装束109点、能面227点の中から、今回は30点を展示しています。

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この企画展では能の「物語」をテーマにしていて、「高砂」「敦盛」「八島」「杜若」「砧」「葵上」「紅葉狩」「猩々」の演目ごとに能面と装束をセットで展示していて、ストーリー性を持たせた内容になっています。

写真は「白地青海波扇面散模様縫箔」(17世紀)。
縫箔とは、繻子や綸子の地に 摺箔と刺繍で模様を表した装束。そのまま上着として着用することもあれば、腰巻(両袖を脱いで腰で巻く着用法)にも使われます。青海波文様の摺箔がなんとも上品で涼しげ。
こんなときこそ、絽と紗の違いや大口と半切の違いをじっくり観察できるいい機会。
実演では、箔や刺繍を施したハデハデ半切に対して、大口のほとんどは無地なのでシロウトの私にも両者の識別は比較的容易なのですが、ここの展示では一見半切にしか見えない大口もありました。私なりの観察では「大口は共布の帯(?)で腰を締め、半切は身ごろについている紐で腰を締める」と「後ろの張り出し具合→大口のほうがオシリが大きい」が、判別ポイントだったのですが・・・。

解説によると、能装束は安土桃山時代の大名や貴族の装束を写したものだそう(当時、見所のエラい方々から褒美としてその場で装束を戴くこともあったらしい)。その後、江戸時代に入り能楽が式楽化されてからは、(小袖の模様が具象性・物語性の強いものになったのとは対照的に)能装束は安土桃山スタイルに加えて、その意匠も抽象化されるようなり、非日常のものとして扱われるようになったという。
・・・なるほど、武家がもっとも華やかだった頃のスタイルなのですね。水野忠邦の「天保の倹約政策」で事業仕分けの対象にならなくてエカッタエカッタ(^_-)

ただ(ここから辛口)、舞台を少しでも実際に観ている私の眼には正直もの足りなかったかな。
まあ、国立能楽堂の展示コーナーあたりの、面装束をずらっと並べてハイお仕舞!みたいな素っ気無い陳列に比べれば、ビギナーに優しい展示だったとは思う。でも、小規模の企画展にするなら、点数が少ない分、密度の高い内容にしてほしい。というか、装束や能面に対する解説が通り一辺で、もう少し突っ込んだものであってもよかったと思うんだよね。
能関係の企画展は今までにもいくつか観ているけど、美術展には①能に詳しい人②もっと詳しく知りたい初心者(←やまねことか)③能を観ない人、といろいろな人が来るから、どの客層も満足させられる展示は難しいだろうなあ~とは思うけど。
私が③の人だったら、その面や装束がいかなる着付をされるのか・どんな空間で演じられるのか知りたいだろうし(舞台写真くらい出しなよ)、②なら展示品の伝来や詳しい知識を得たいと思うだろう。そういう意味で私にはちょっと中途半端な内容でした。

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隈研吾設計の本館。最近はこういう主張の強すぎないスマートな建築が好まれるのかな。
本館の中2階から見るロビーと庭が、庭の急勾配とシンクロしているかのような「斜めの視野」になっているのが面白くて、いつもここに足を向けてしまいます。

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NEDUカフェのカウンター席。
平日の午後、青山で遅めのランチ・・・なんて、マダムになった気分だぜ。
写真は「今日のパスタ」(ホタテとズッキーニのパスタ)♪

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ガラス越しに、ヒドラの庭(笑)ならぬ旧根津邸のお庭を観ながらお食事。
このあとサントリー美術館へハシゴなので、急勾配のお庭散策はスルーです。
このカフェの天井とスタッフルームのドアは、繊維を粗く漉き込んだ和紙を張っているんですよ。そういえば、サントリー美術館隈研吾のデザインだし。。。はからずも人気建築家もハシゴした一日でした。