対岸の花

早いもので、関根祥人さんが亡くなられてから一ヶ月余りがたちました。
ほんとうは先月の観世会で私の好きな曲でもある「半蔀」を観るつもりで楽しみにしていたので、
舞台の10日ほど前に訃報を知ったときは耳を疑ったし、「なぜもっと早く観に行かなかったのだろう!」と悔やまずにはいられませんでした。
解離性大動脈による突然の死を迎える直前まで、祥人さんはいつものようにお弟子やご子息の祥丸君に稽古をつけられていたそうです。同じように、自分に襲いかかる運命を知らぬかのように、源氏との恋の始まりの喜びを謡う「半蔀」の夕顔の姿が重なってしまいました。
ようやく近くに寄って、姿や香りを楽しめると思っていた花が、目の前で散ってしまったようで、
悲しくて残念でなりません。
訃報から数日後の銕仙会の観世寿夫三十三回忌・観世雅雪二十三回忌の特別公演には予定どおり足を運び、記事も書いてはいたのですが、「ああ綺麗だった、楽しかった」的な記事をUPする気分にはなれず、お能を観る勢いもトーンダウンしてしまって、お能はしばらくお休み中です。
遠からず復帰するとは思いますが。
母が朝日新聞の追悼記事を書留と一緒に送ってくれたので、今日受け取りに行く予定ですが、
読んだらまた泣いてしまいそうです…。