花待つころ

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日本列島を未曾有の激震が襲ってから、あっというまに一週間が過ぎました。
日を追うごとに事態は深刻さを増していますが、なんだか長く悪い夢を見ているようです。
3月11日以降、私にもいろいろな生活面・精神面の変化があったのですが、どう書いても自分の本当の気持ちから離れてしまうような気がしています。

いま一言メッセージにアップしている和歌は、崇徳院の和歌です。

朝夕に花待つころは思ひ寝の  夢のうちにぞ咲きはじめける

崇徳院は、保元の乱で自身の親王皇位継承権をめぐって後白河と争って敗れ、讃岐に流されます。(ちなみに何度か転々とした配所のひとつがアートの島・直島です)
不遇のうちに生涯を閉じた崇徳院は、その死後には怨霊伝説に取り上げられたりするのですが、遺された御歌を読んでいると、やさしく素直な歌や情熱的な歌も数多く詠まれています。実際の崇徳院は繊細で感受性豊かな人柄で、歌こそがその矜持を支える拠りどころであったのでしょうか。
人はどんな絶望のさなかにも、美しいものの中に生きる支えを見出すことができるともいえるのかもしれません。

生きているからこそ、飢えていないからこそ言えることなのでしょうけれど、こんなときだからこそ、心を温め潤すものが必要だと思います。
このブログには基本的に私の好きなもの・綺麗だと感じたものばかり書いていますが、(無)計画停電に追われるようにして早帰りしているこの時期に少しでも書けるブログは、私にとっては小さな自家発電機になれるのかもしれません。

そんなわけで、このご時勢に震災日記も時事ネタもほとんど書くことはなさそうですが、ぼちぼち書いていこうと思います。
能やコンサートもこの情勢では当分上演されないでしょうが、また別の形で取り上げたいと思います。
では、また。