「生誕100年 岡本太郎展」(国立近代美術館)

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連休を利用して、国立近代美術館で開催されている岡本太郎展に行ってきました。
ちょうど前日に渋谷駅の「明日の神話」に福島第1原発事故の風刺画が貼り付けられるという事件(?)があったばかりで(http://www.asahi.com/national/update/0502/TKY201105020282.html)、
当日の朝、美術館に行く前に渋谷駅に立ち寄ったら、久しぶりに警備員が配置されてました。
なかなか手が込んでいるというか、犯人は「明日の神話」をよく調べた上でやったんでしょうね。岡本太郎ご本人は怒らないような気がするけど。
 
会期終了間際&連休とあって、「前売り券購入20分待ち・入場まで20分待ち」の看板が立つ大混雑。
どう見ても、リアルタイム世代より、岡本太郎を知らなさそうなカップル&親子連れの方が目立ちます。
 
この企画、全体を通して受けた印象は「爆発!岡本太郎祭り」でした。とにかくすごーく面白かったです。
近美は昨年の「建築はどこにあるの?」展でも斬新な展示に取り組んでいましたが、今回はそれを上回る大胆な展示会場。なにしろ展示室に一歩足を踏み入れると、太郎の顔を摸した巨大なパネルがお出迎え。テーマも
 
プロローグ「ノン!」
第1章「ピカソとの対決」
第2章「『きれい』な芸術との対決」
第3章「『わび・さび』との対決」
第4章「『人類の進歩と調和』との対決」
第5章「戦争との対決」
第6章「消費社会との対決」
第7章「岡本太郎との対決」
エピローグ「受け継がれる岡本太郎の精神」
 
・・・ってな具合に、つねに何者かと「対決」し続けた岡本太郎の人生がほぼ時系列で、これでもかー!といわんばかりに展開されてました。とにかく異様なまでにパワフルな展示空間で、観る方もそれなりの元気がないと作品の放つワケのわからんパワーに圧倒されてしまいます。いつもは美術館が混んでいると(自分を高い棚に放り上げて)ウンザリしてしまう やまねこですが、今回ばかりは混んでいてちょうどよかったと思いました(笑)
 
各展示コーナーのテーマや配置は概してわかりやすく、岡本太郎が生きた「昭和」という時代の空気が感じられる構成になっています。「夜明け」(昭和23年)なんて、群青色の背景に咆哮する怪物や髪を振り乱した人物をキャンバスいっぱいに叩きつけるように描いた作品で、戦後3年目にこんな絵を描いていたのですね。世間で受け入れられるとか、まして絵で生計を立てるなんて全然考えていなかったんじゃないかな。
 
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もちろん、あの「太陽の塔」も!
ポスト岡本太郎世代の やまねこにとっては、大阪万博より「20世紀少年」のイメージが強いですが、当時の写真を見るとトンデモナイ大きさだったのがわかります(伊丹にある実物は見てません)。
映像でも万博の企画会議(?)で「人間だってもとは単細胞生物だったんだ!」と力説する太郎と、「理解不能。。。」って表情を隠さないお偉方の姿が映ってました(笑)。現場に模型が設営されるやいなや、赤いTシャツにショーパン&ビーチサンダル姿でよじ登って、ノミ(?)をふるう太郎。もう誰も止められない~~。
 
とにかく生涯を通じて既成概念にとらわれることのなかった太郎。その才能が開花したのが戦後の高度経済成長期とほぼ重なっているのに、とても納得です。
観世寿夫&榮夫にしてもそうだけど、どのジャンルでも先駆的存在を生み出す時代の空気というものはあると思う。その一方で、ネットで散見された「太郎の作品からパワーをもらおう」的な発言からは、苦しい時期を乗り越えて再びあの時代に戻りたい、という淡い幻想のようなものを感じてしまうんだよね。
 
それはさておき。
 
今回はオリジナルグッズも充実していて、この企画展の動員に大きく貢献したのではないかと思うほどでした。
会場出口に設営されたグッズ売り場も展示の一部として扱われているかのように、動線上にうまく配置されています。「太陽の塔&太郎ちゃん人形」フィギュアなんかすごく精巧に作られていて、8,500円と高額でなければ、やまねこ買いた・・・い・・・かも(1,500円の太陽の塔フィギュアは買っちゃいました)。ユニークなのは「座ることを拒否する椅子」を模したちっちゃいビーチボール。「『太陽の塔』青焼きポスター」には、同行者(理系)がビビッと反応してました。
白眉(?)は、会場外に設置された海洋堂のオリジナルアートピース(ガチャガチャ)。
やまねこ、ガチャガチャ初体験でして・・・実はこれをgetするのが楽しみで早起きしたんだよ♪
「1日3000個限定販売・お一人様1回につき2個限り」という制限つきゆえ、4台のガチャガチャは15分待ちの長蛇の列。中にはネットオークション目当てとおぼしき、大きな袋持参で何度も並ぶ怪しげな人の姿も。
 
やまねこの戦利品は中央の「河童」と「座ることを拒否する椅子」。あとの2つは恵んでもらいました(笑)。
アートピースは1個400円(全8種類)。ひとつひとつ手作業でつくられているそうです。
渋谷駅の「明日の神話」にしてもそうですが、身近なものとして鑑賞し続けていくことで、作品と自分の距離感がいつのまにか縮まるという意味でも、グッズの販売は意義があると思います。
 
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もうすぐ会期終了ですが、一見の価値はある企画だと思います。ガチャガチャもぜひgetいたしませう♪
(注意:ごはんをガッツリ食べてから行きましょうネ!)