南柯の夢

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金沢の記事も写真も溜め込んだまま、遅めのお休みを実家でいただいています。
 
今日は雨の中、3人の職人さんたちが庭の剪定や草刈に来てくれて、障子を締め切って過しました。
写真は玄関脇のヒバの生垣の中から見つかった蜂の巣。
もう何年も生垣を放置しておいたのをいいことに、ぬくぬく育って分家が2つ出来るほどまでに。
二つは殺虫剤で壊滅しましたが、まだもう一つ残っていて、おじさんが竹箒で生垣のてっぺんを叩いたら
兵隊がわあわあ言いながら出てきました。
人間のほうも、今までよく襲われず無事でいられたものだと思いました。
 
蜂の巣を見て、昔子ども向けの絵本で読んだ、唐宋伝奇集の「南柯(なんか)の夢」を思い出しました。
 
唐の淳于(じゅんうふん)が自宅の槐(えんじゅ)の木の下で酔って寝ていたところ、夢に二人の使者の迎えを受けて、槐安国に行き、国王の娘を娶って、南柯郡の太守となり20年の栄華の時を過ごしたが、目覚めてみると、槐安国とは、槐の木の下の穴にいる蟻の国であり、南柯郡とは、その木の南向きの枝であった。 
 
日ごろ見なれた庭木の下に異界があるの気づくこともなく過していたのに、夢を回路として異界と交わり、その世界の秩序にもすんなり順応できてしまうという不思議なお話。夢から醒めたあと、蟻の王国が実在しており、王国で娶った妻の墓所(土饅頭の下から女王蟻の死骸が出てくる)を見つけるというオチが子供心にとても印象に残っていて、それ以来、庭木の根元に蟻の巣を見つけるたびに、地下の王国を想像したものでした。
 
この蜂の巣もわりと長い年数、ヒバの生垣の中にあったようで、外敵にさらされることもないまま発展を遂げて、ローマ帝国のように二つ、三つと それぞれ女王のもとに領土を分けていたのでしょうか。
淳于壅のように、うたた寝の夢からヒバの楽園に迷い込んだお婿さんがいたのかもしれませんね。