Kiss of Fire

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最近シングルモルトに目覚め、オンザロックでたしなんでおります。
やまねこの地元は酒処らしく贈答品の定番は「地酒」ですが、
洋酒も戴くことがあって、戴き物の「響」なんか帰省時に父を誘って(←ここ重要)
水割りでクイクイ空けてしまったり・・・も、しておりました。
 
ウィスキーの香りと個性がより前面に出るシングルモルトは、オンザロックがいい。
いま家飲み用に常備しているのはマッカラン12年で、
グラスに顔を近づけたときの芳醇な香り、
氷の隙間から舌に流れ落ちていくときの苦く甘美な味、
ミダス王の黄金のように、体内に取り込まれた瞬間に冷たい炎となって喉を滑り落ちていく感触・・・にハマっています。
少し間をおいて 野焼きの火が広がるように、全身の血がふわーっと熱くなり、
さらに少し後、吉田健一の「金沢」のように思考もあちこちを飛び回り始める。
 
これこそまさに、炎の接吻。
 
(ただし、アルコール度数40度以上なので、あくまで家飲み専門ですが・・・)
 
何年か前に亡くなった倉橋由美子に「よもつひらさか往還」という作品集があって、
サントリークォータリー」に掲載された、お酒をテーマにした幻想短編集なのですが
その中に登場する美酒や、陶酔が体をめぐる描写がほんとに美しい。
(人間の血をベースにしたカクテルなんかは、恐ろしいけど飲んでみたいような・・・)
倉橋由美子自身はお酒をほとんど飲めなかったとはいえ、
お酒の愉しみ方を知っていた人ではなかったかと思います。
(もしかしたら、吉田健一へのオマージュとして書いたのかもしれませんが)
お酒を好むことと、酒量は必ずしもイコールではないということでしょうか。
 
理想をいえば、お酒との適度な距離を保てる「酒好き」とこそ
一緒にお酒を愉しみたいなあと思います。