「モニーク・フリードマン展」の図録

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年末に金沢21世紀美術館で観た「モニーク・フリードマン展」の図録ができたので、
ミュージアムショップに注文しました。
 
現代アート、特にインスタレーション作品の場合は、展示会場という「空間」があって作品として成立しているために、二次元の図録で詳細に紹介されていても、どうしても実際に作品を前にしたときの感覚とのズレを感じてしまうので、現代アートの図録を買う時はあまり期待していないことが多いけど。。
モニーク・フリードマンは、一見とてもシンプルだけど、目と耳を澄ますことで、作品の奥から湧き上がる「揺らぎ」が自分自身の内面と静かに共振していく時間と空間をつくり出す、というタイプのアーテイストだ。21美の展示室11の「アプサント」「『輝き』シリーズ」を前にしたとき、パステルで染色された布を張ったキャンバスが、静かに揺らぎながら発光しているように見えて、皮膚の下がさわさわとざわめきだしたのを感じたので、図録ができたらダメモトで買おうと待っていたのよ(笑)。
 
手にとってみて、まず装丁の美しさに感心。上の写真はちょっと色調が暗くなってしまったけど、実物はもっと明るい「黄色いタイル」のようなイエローで、マットな紙にシルクスクリーン印刷されています。右下に小さくプラチナ箔でタイトルが箔押ししてあるのがセンスの良さを感じさせます(金沢の箔だとしたら気がきいてるけど)。
 
印刷を担当された職人さんのブログを見つけたので、詳細はこちら↓をご覧あれ。
「印刷職人のしごとば」http://ameblo.jp/sunm123/entry-11153155084.html
 
 
この図録、「カレイドスコープ」の写真に偏っている感じがなくもないけれど、展示会場の中でもっとも人の動きがある「緑の橋」にかけられた「カレイドスコープ」を、さまざまな時間帯で撮影することで、一日のなかで光と色彩のうつろう様をとらえようというこころみなのだろうか。やまねこの好みでは夜間の写真がいいですね。21美の白い空間と作品の色彩のコントラストが、冬の冷たい空気の中にすっきりと浮かびあがっている。
アーティストへのインタビューと解説も、適度に詳細でわかりやすい。今回の展示はアジア圏では初の大型展示とのことで、鑑賞後に21美のライブラリーでさっと目を通した資料も断片的で概要がつかみにくかったので、こうした(まとまった)情報が得られるという意味でも、やはり図録は意味があるのですね。。
 
とはいえ百聞は一見にしかず。
3月20日(祝)までの展示なので、お近くにお住まいの方はぜひお運びください。。