憂愁の道は四つ

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タイトル(とジャケット)にひかれて買いました(^_^;A
 
「憂愁の道は四つ」(ダニエル・ブレル/ル・ポエム・アルモニーク)

フランスの作曲家・バンドネオン奏者ダニエル・ブレルが古楽器アンサンブル「ル・ポエム・アルモニーク」のために書いた、バンドネオン古楽アンサンブルのための作品集とのこと。
なかなかお目にかかれないアンサンブルに興味を惹かれ、即決。
 
予想に反して打楽器は入っていないこともあってか、全体の印象としては淡白なピアソラというか、内省的なタンゴ風室内楽といった雰囲気。
外に向かって発していくタイプではなく、自分の内に向っていくモノローグっぽい音楽。そう、これは夜の音楽です。深夜にウィスキーグラスから~ん、ってしながら聴くのが似合いそう(笑)。
ダニエル・ブレルという作曲家は初めて知ったのだけど、先入観ゼロで聴いても、やはりピアソラの匂いを感じてしまう。もっとも、ピアソラのような泥臭さや破壊的な要素はほとんど感じられず、よくいえば繊細で洗練されたサウンド、率直にいわせていただけば、も~ちょっとタンゴの持つ一種の「毒」というか腐臭が欲しいかも。。

録音技術の高さで定評あるレーベルらしく、弦の繊細な響きも綺麗に捉えています。
特に1曲目の「冷たい太陽」の冒頭、バス・ド・ヴィオールのソロから弦のロングトーンに引き継がれるところなんか、夜の気配がじわじわと深まっていく雰囲気がよく出ていて、繰り返し聴いてしまいます。第10曲「こだま」も、まるでモノローグのようなテオルボのピツィカートにヴィオールがこだまのごとく呼応し、抒情的なテーマが展開されていく、どこか懐かしさを呼び起す美しい小品です。

そんなわけで、なかなか個性的な録音ですが、こちらで視聴できます。