シベリウスの「もみの木」

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 相変わらず猛暑が続いている中にも、空や日差しの色が少しずつ秋に近づいているようなこの時季になると、むしょうに「木」に近づきたくなります。
 
 行きつけの図書館の近くに、樹齢何十年とも知れないクスノキやヒマラヤスギなどのちょっとした並木道があるのですが、とろりとした緑の陰がしたたる舗道を、いつもよりゆっくりした足どりで、お散歩がてら本を借りに出かけるのが楽しみです。
 そこまで時間がないときは、「木の香り」の精油をアロマランプで焚いて芳香浴してみたり。サイプレス(糸杉)、ティーツリー、」シダーウッド、ローズウッド・・・木の根や幹は土台。しっかりと大地に足をつけていなければ、枝や葉も育たないし、きれいな花も咲かないということかもしれません。
 
 そして、「木の音楽」。
ここ数年はクラシックでもジャズでもピアノ曲を聴くことが多くて、その中でも特に好きなピアニストの一人がフィンランド音楽の第一人者・舘野泉さんです。
 
シベリウス「樹の組曲 Suite The tree op.75」
 
 シベリウスが、山荘「タピオラ」の周りの木々からインスピレーションを得て作曲したピアノ組曲。日本では、舘野さんが紹介して有名になった曲です。
 
 ななかまど、孤独な松の木、はこやなぎ(ポプラ)、白樺、もみの木・・・。
 
特に7:28あたりの「もみの木」の演奏は、本当にすばらしい。雪の結晶や針葉樹の香りを思わせる硬質で透明な美しさ、風にそよぐモミの梢のような繊細な分散和音は、まるで遠い北の森の中を歩いているような気がするほど。アシュケナージの演奏も悪くないけど、もうこれ以上美しい「もみの木」はないと思ふ(←きっぱり)。
 交響詩フィンランディア」の重厚で大地の曲!といった世界とはがらりと変わった、シベリウスの素朴で繊細なピアノ曲も好きなのです。