「世にも怪奇な物語」(1967)
めっきり冷え込んできたこの頃、やまねこのお楽しみはDVD鑑賞。
出演者がこれまたすごくて、ジェーン・フォンダ、ピーター・フォンダ、アラン・ドロン、ブリジット・バルドー・・・と錚々たる顔ぶれで、映画ファンならもう内容より先にこの布陣で飛びついちゃうんじゃないかと思います。
もちろん、ポーの怪奇短編大好きな やまねこが放っておくはずがナイ!
第1話「黒馬の哭く館」
ジェーン・フォンダとピーター・フォンダの姉弟共演、しかも監督のロジェ・ヴァディムとジェーン・フォンダは当時夫婦という、なんとも家内手工業的な顔ぶれ。(ちなみに第2話の「影を殺した男」に出演したブリジッド・バルドーはヴァディムの元奥さん)
原作「メッツェンガーシュタイン」とは登場人物の設定をガラッと変えているけど、実はこの作品が一番ポーらしいというか退廃的で、すっごくハマリました!
莫大な遺産を相続し、享楽的な生活を送る驕慢な女公爵メッツェンガーシュタイン(ジェーン・フォンダ)。ジェーン・フォンダって、こんなに綺麗だったのか!と同性ながらほれぼれしちゃうほど。当時のロジェ・ヴァディムが彼女にいかに惚れ込んでいたのか、画面を通してすっごくよくわかる。
ある日、キツネ狩りの罠に足を挟まれた彼女は、罠を外してくれたヴィルヘルムに一目で恋に落ちる。初めて彼の顔を間近で見た瞬間のジェーン・フォンダの表情は、彼女がもう引き返せない運命の歯車に巻き込まれていったのを物語るような。
ピーター・フォンダって、お姉さんとは全然違うタイプだけど、非現実の世界に生きているようなあやうい美しさがあって、やまねこでもフォーリンラブしちゃいそうです
美しく驕慢な女公爵は誇りを投げ捨ててヴィルヘルムの愛を求めるが、馬にしか愛着を持たない内向的で潔癖な青年は彼女をそっけなく拒絶する。誇りを傷つけられた女公爵はヴィルヘルムの厩に火を放たせるが、愛馬を救おうとしたヴィルヘルムは炎の中に飛び込んで姿を消してしまう。
ヴィルヘルムの死の知らせを聞いて呆然と立ちすくむ女公爵の館に、炎上する厩から一頭の黒馬が駆け込んでくる。禍々しいまでに漆黒の、気性の激しい馬を彼女はヴィルヘルムの生まれ変わりだと直感する。行き場をなくした恋と恨みを抱いて虚ろな日々を送る彼女は、黒馬にその執着を向けるようになるが・・・。
ホラーというより怖いおとぎ話を実写化したような幻想的なシーンが多くて、まさにやまねこ好みのど真ん中。チェンバロをつま弾くだけのような音楽も◎
それにしても、復讐譚の筈なのにラストでヒロインが不幸に見えないのは私だけ?
第2話「影を殺した男」
監督 :ルイ・マル
出演 :アラン・ドロン ブリジット・バルド-
原作「ウィリアム・ウィルソン」とオチはほぼ同じだけど、とにかくアラン・ドロンの悪逆非道ぶりが徹底しているのが見どころかも。なにせ、このウィリアム・ウィルソンときたら、寄宿生時代にクラスメイトをネズミがウヨウヨしている樽に吊るすわ、医学生時代に仲間と一緒に通りがかりの娘を拉致して生体解剖しようとするわ、もう人格障害の域に達しているような残忍な性格。
で、悪事を遂行しようとする直前に必ず阻止する「もう一人のウィリアム・ウィルソン」に主人公は常に脅かされ、ついにナイフを抜いて襲い掛かるのだが・・・。
黒髪のブリジット・バルドー。
ロジェ・ヴァディムはBBと別れた後ジェーン・フォンダ、カトリ-ヌ・ドヌーブと再婚しているのだけど、なんか好みの路線がわかりやすいというか。。でも別れた後の彼女たちがそろいもそろって女優として開花しちゃったところがもっとスゴイですね。
第3話「悪魔の首飾り」
監督 :フェデリコ・フェリーニ
出演 :テレンス・スタンプ
原作「悪魔に首を賭けるな」を現代風にアレンジしたもの。酒で人生を転落しつつある俳優の前に現れる「悪魔」、少女の幻影を描いた作品。
イタリアの監督らしく(?)、フェラーリをぶっ飛ばす場面も出てくるけど、正直、この作品見てる間半分近く寝てしまって・・・。映画としての作りこみはよくできているのかもしれないけど、導入部がいささか冗長で怖さにイマイチ乗りきれなかった。
・・・それにしても、すっごくバランス感覚に欠けたレビューだな~(呆)。
まあ、お能の感想も似たようなもので、読み返してみると「一番だけ観て帰ったのか??」ってなことになっているのですが。
まあ、こういうセット品は気に入った作品(舞台)がひとつでもあったら大当たりだと思うし、この映画は人によってツボな作品が違うんじゃないかとも思います。
秋の夜長にオススメ♪