花道はハイヒールで!

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 三十代に入って数年、それまで好きだったフェミニンで可愛らしいスタイルが齢を重ねるにつれて だんだんそぐわなくなってきたように感じて、十数年ぶりに髪をばっさり切るとともに、ワードローブも徐々にシンプルなスタイルにシフト。最大公約数的な男性ウケからは離れるかもしれないけど、私にとってはようやく自分の求める大人の女性のイメージに少し近づけたような気がしています(そもそも私が惹かれるタイプは決して最大公約数ではないし・・・)。
 
 この秋から、休日にウォーキングシューズを履く一方で、写真のような7センチ以上のハイヒールが復活しつつあります。特に厚手のニットやコートで上半身のボリュームが増える秋冬は、下半身がスキニーパンツにバレエシューズのような軽量ではバランスに欠けるので、ヒールの高い靴を履くことでボリュームを調整します。
 バレエシューズのような可憐な靴もいいけど、仕事や能楽堂だの美術館のような、ある種緊張感を求められる場では、やはりハイヒール、それも7センチ以上のパンプスが一番しっくりきます。ヒールの高さが5センチを超えると、足首からふくらはぎにかけての筋が自然にきゅっと締まるし、膝や背中を曲げないように腰をまっすぐに立てようとするからかもしれません。
 なによりハイヒールは自分が女性であることを強く自覚させてくれる。パンツスタイルでもハイヒールを履くと、膝が開かないような足さばきを意識するようになります。
 
 「型」から入るといえば、能で女性の役で居グセの際に、上掛り(観世・宝生)では着物の合わせ目に沿って右膝を立てて座るのに対して、下掛りの喜多では着物の合わせ目に逆らって左膝を立てて座ります。喜多の座り方では、裾が乱れないように膝をぎゅっと閉じ気味にして片膝立てるので、見ていて疲れるんじゃないかと思うような座り方です。が、故粟谷菊生によると裾を乱さないように神経を使うことで、清楚な女性らしさが出せるのだとか。
 このエピソードを知った時は、目からウロコでした。そもそも、男女問わず100%楽なガバーッと緩んじゃった姿って色気ないですよね。そういう意味では、ハイヒールとか着物とかネクタイとか袴みたいな身体的制約の高いアイテムが、女(男)らしさをつくり出すのかもしれません。