なにもない休日

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 久しぶりに予定もない、やりたいこともない完全なる休日。
目覚まし時計を使わず自然に目覚めた朝、TVもFMもいっさいつけず、時間を気にせずお気に入りの入浴剤を溶かしたゆっくりお風呂に浸かって、ぼーっとした後、湯上りによく冷えた白ワインを口にする。
 オーストラリア産のシャルドネJACOB'S CREEKは、600円台のハーフボトルなのに爽やかな果実の香りが、緩やかに全身に広がっていく逸品。
 ワイングラスは、ワインと日本酒用に愛用している、松徳硝子「うすはり」シリーズ。
これを使うと安ワインもグレードアップしたような気分になれる(笑)。
 
 このところお料理もサボリがちだった反省で、フライパンを振ってブランチを作る。
辻邦生はパリに滞在していた頃、市場で材料を選んで自ら食事を作ったそうだけど、たとえ簡単なものでも、休日の料理って豊かな気持ちになれるのはなぜだろう。
 
 
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  すこし前に書店で買ったものの、忙しくて手つかずだった本を読む。
 「神の代理人」は昔中公文庫で出たあと永らく絶版になっていたけど、版権が新潮社に移ったらしい。
 今でこそ「ローマ人の物語」がメジャーな印象の塩野七生だけど、私は初期のルネサンスもののほうが面白くて好き・・・と、いつだったか同じことを言っていた人がいた。塩野七生は全部読んだというその人も、どこかでこの本を手にとっているのだろうか。
 
 陽の短い冬の午後を、ウッドコーンで大好きなビル・エヴァンズを聴きながら、現実とルネサンス法王庁のあいだを行き来する。そうこうしているうちに、頭に浮かんできたことをハヤブサ君(万年筆)でノートに書き留めたり、お掃除したりアイロンをかけたり。
 夕方の早い時間のうちにスーパーで肉と野菜を買い込んで、作り置き用のベーススープの材料を調達。あ、ひじきの煮ものなんかもいいな~、ヨーグルトのトッピング用にきな粉も買おう・・・などと見て回るのは本当に久しぶりだ。
 
 生活の豊かさは、決して物質だけでは不可能だが、精神だけでも生れてこない。やはり精神と具体的な生活が一つになる必要がある。私は吉田(健一)さんの書くものを通して、精神が豊かであるためには、日々の生活への思いも豊かでなければならないということを知った。それは何も贅沢な生活をするということではなく、季節の移ろい、日のかぎろい、雀の声、友達のおとずれに心をときめかせるという、静かな、落ち着いた、目立たぬ生活をつづけるということである。
-辻 邦生-
 
 一週間に休日が二日間あるなら、一日はこんな過ごし方をできたら理想的。
予定もない、やりたいこともない、自分からすら解放される一日が過ごせるだけで、ずいぶん余裕が生まれると思うけれど、それがなかなか難しいのだね。