喜多流職分会 二月自主公演能

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やまねこの(ご近所の)お気に入りの白梅、ようやく見頃になりました。
今日の「小鍜治」のシテも、こんな清げな雰囲気でキレイでした。。
 
実は今年に入って最初の観能だったのですが、初番「賀茂」と狂言は観てません。
このところお疲れモードなせいか、能三番狂言一番の番組は正直キツイ。
特に喜多の自由席でいい席を狙う場合、朝10時前には並ばないといけないし、
そのあと開演の12時から17時近くまで能楽堂に詰めっきり・・・とヘビィなのさ(涙)。
 
今日の番組は以下の通り。
能「賀茂」    シテ 友枝 真也
狂言「口真似」 シテ 山本 泰太郎
能「雲林院」  シテ 大島 政允
能「小鍜治 白頭」 シテ 佐々木 多門
 ※番組表詳細はこちらを見てね(←超手抜き)
 
 
雲林院
脇正面に回ったのは~遅刻したからさっ!(笑)
・・・といいつつ、シテが登場するまで(?)、今日もワキと地謡を楽しくチェック♪
今日の福王和幸、低音をしっかり張っているけど、全体的に甘くやさしげな印象。
伊勢物語の愛読者ならロマンチック男子という設定だからでしょうか?
 
喜多の謡は明瞭で、サボリ魔・やまねこのリハビリにはぴったりでしたが、
業平くんてば、色好みは女性を救済するって言い分、都合よすぎじゃないの???
そういや「須磨源氏」でも光源氏が似たようなこと言ってたような気がするなあ・・・。
シテはわりと渋めなタイプだったように思うのですが、詞章がツッコミどころ満載。
平安貴族って、恋と和歌しかすることがなかったのかしらん?
 
 
「小鍜治」
シテは、年末の「小原御幸」でのツレ(大納言局)が上品できれいだったのが印象に残っていた方で、ぜひシテ舞台を観よう♪と楽しみにしてました。
帝が霊夢を見たために、名人・小鍜治宗近に刀を打てと命じられるのですが、その勅使の名が橘道成。そう、いわずと知れた道成寺を建立した「みちなりの卿」なのですが、なぜこの曲で橘道成が登場するんだろう?
・・・という疑問を抱く余裕もなく、槌を打つ相方がいなくて困り果てた宗近は稲荷明神へ神頼みに。そこへ現れた前シテは、小柄で清々しくやさしげな童子姿。面や装束で覆われていても、育ちのよさはやはり出るんだな~と感心。面はちょと個性的というか神懸ったような顔つきで、稲荷明神の化身であるのが一目瞭然。
この方は謡にちょっと特徴があるのですが、今日は気合と声量のバランスが絶妙で(上から目線・・・)、ずんずん引き込まれていく感じ。型のひとつひとつが実に丁寧できれい。いかにも実直で困った顔のワキ(宗近)とのやりとりも好コンビです。
間の則重も、ダイエットが成功したのか(笑)、すっきりした姿と謡で楽しませてくれましたよ♪
 
でも!本当にすごかったのは後場
早笛の拍子で現れた後シテは、小書の通り、白頭に法被・半切も白地に金箔をあしらった白狐の姿。なによりキツネが跳躍するような特殊なハコビが実に鮮やか。
華奢で甲の薄い足が、着地した瞬間には、もう次の跳躍に向けて静かに力強く大地を蹴っていく様子にもう釘づけ。はじめて了一を「車僧」で観たときもバレエを連想したけど、タモンのハコビも本当にキレイ(←コーフンのあまり呼び捨て)
宗近と一緒に刀を打つところがクライマックスなんだけど、やまねこはアスリートのようなハコビと跳躍にも微動だにしない上体に感動。やまねこ的に印象に残った舞台は、例外なくハコビが美しい人ばかりなんだよね。
能の世界じゃ「若い」って必ずしも褒め言葉じゃないらしいけど、この年代(三十代後半)の清新さと気魄が実に気持ちのいい一番でした。
 
時間さえ許せば(!)、文化遺産訪問を兼ねて平泉での舞台も拝見したいものです。