「ヨオロッパの世紀末」(吉田健一/新潮社 ※絶版)

イメージ 1
 
 古本屋を見つけると、誘蛾灯に引き寄せられるモスラのように、ついふらふら~っと立ち寄ってしまう。
 もちろん神保町にもよく行くけど、靖国通りに面した堂々たる店構えのお店よりは、路地の奥にひっそりと佇む小さな、でも店主のこだわりと目の確かさを感じさせるようなお店が好きだったりします。
 そして最近はやりの(?)ネット古書店。すでに絶版で古本屋でしか手に入らない本が、実生活ではほぼ訪れないであろう九州の小さな町の古本屋さんから送られてくる時、私の前にその本を手にとった見知らぬ街の誰かさんを想像してみたりする。
紙の本は、時と場所を越えて、未知の誰かと私をめぐり会わせてくれる。
 
 
イメージ 2
 
 写真は最近の戦利品・吉田健一の評論集「ヨオロッパの世紀末」。
この本は、この評論集で野間文芸賞を受賞した吉田健一が編集者への献本として書きこんだ署名入り。
 
イメージ 3
 
 かなり強い筆圧で書かれた、カリグラフィーを思わせる個性的なサイン。
 いわゆる献呈本ってサイン本としての価値はそれほど高くないというけれど、私は好きな作家なら一冊くらいは自筆入りの本を手に入れたいと思っていたから、ちょっとお高かったけど買ってしまいました。
吉田健一なら、できれば「金沢」の署名入り初版本が欲しいけど、去年は生誕百年で復刻ブームだったし、まあ出てこないだろうなあ。。
 
イメージ 4
 
 やまねこの本棚の一部・吉田健一コーナー。
文庫本は本の流通としては最終形態で、特に文芸ものは出たと思ったら初版でもう絶版ということが多く、お気に入りの作家の作品は店頭で見つけたらソッコーで買い漁っています。
でも少なくともあと10冊は未購入なのですね~。