2013夏の九州旅行 ③高千穂の夜神楽
高千穂神社を出たのはまだ4時台。早朝からずっと移動に次ぐ移動でさすがにクタクタだったので、夜神楽にそなえて体力温存しなくちゃ、とひとまずお宿に戻って夕食が運ばれてくるまでひと眠り。昭和な観光ホテルで、お部屋もレトロな和室(もちろんテレビはブラウン管)だったけど、部屋出しの夕食はおいしかったし細かな気配りが感じられてよかったです。
国の重要無形民俗文化財に指定されている高千穂の神楽は、天照大神が天岩戸にお隠れになったおり、岩戸の前で、天鈿女命(あめのうずめのみこと)が舞ったのが始まりと伝えられるものだそうです。古くからこの地方に伝承され、秋の実りへの感謝と翌年の豊穣を祈願し、 11月中旬から2月上旬にかけて三十三番の神楽があちこちの神社や神楽宿(民家など)で奉納されます。三十三番の神楽は氏神様を神楽宿に迎えた夕方から始まり翌日の昼前まで舞い続けられます。
・・・こう書いていると、黒川能に似ている、かも。九州と東北という離れた土地で、異なる民俗芸能が似たような形で伝承されているなんて興味深いですね。
こうした本来の神楽とは別に、メジャーな4番をダイジェストした観光神楽が年中無休で毎晩高千穂神社の神楽殿で舞われています。観光神楽といっても舞うのは本物の舞人。いってみれば、金沢の「観能の夕べ」みたいなもの??でしょうか。
神楽殿の舞台。
能舞台と同じく、社殿の中に屋根を持った舞台がしつらえてあります。
この白い切り紙細工と注連縄を張り巡らした四方の中で、神楽が舞われます。
結界の中で舞うという発想はここにもあるんですね。
よく見ると、切り紙には五行を表す文字や動植物があしらわれています。
手力雄(たぢからお)の舞
天岩戸に隠れた天照大神を探すために、耳をすませながら洞穴の周りをぐるぐる回る舞です。
神楽のビートが結構独特で、ある一定の様式で結界の中をぐるぐる回り続けるような印象です(能の囃子の方がバリエーションを感じられるくらい)。
神社で発祥した神楽と猿楽が、枝分かれして時代とともにそれぞれの様式を確立していった過程の一部がなんとな~く想像できるような・・・。
鈿女(うずめ)の舞
手力雄が見つけ出した岩戸の前で、鈿女が面白おかしく(ストリップで)舞います。
手力雄が見つけ出した岩戸の前で、鈿女が面白おかしく(ストリップで)舞います。
こうしてアップで見ると、女神というよりは庶民の女性みたいな面ですね。
どことなく誰かに似ているような・・・リアルな顔立ちの女神さまです。
戸取(ととり)の舞
さきほどの手力雄が、いよいよ天岩戸を開いて神をお連れする勇壮な舞です。
さきほどの手力雄が、いよいよ天岩戸を開いて神をお連れする勇壮な舞です。
三十三番の神楽のクライマックスともいえる舞で、本来は夜も明けて日が昇る頃に舞われるものだそうです。観光神楽は一般受けしやすい面をかけた番を選んでいるますが、三十三番の過半数は面をかけない「素面」で舞われるそうです。
岩戸をふさいでいる巨岩を持ち上げる。御神体は鏡で表されています。
岩を担ぎ上げる手力雄。
御神体の舞
二人でお酒を造ってほろ酔いになって抱擁し合い、国を造りだす物語、
・・・なのですが~~!、ご覧のように庶民の男女そのもののような神様の姿に象徴されているように、ちょっとエッチ卑俗な舞なのですね。
本来は、夜が更けてみんなウツラウツラしだす頃に舞われるんですって。
お酒飲んで、すっかりいい雰囲気になった二人・・・後はご想像にお任せします
その様子をこれまたチラ見する楽人のお兄さんたち(笑)。
最初は「キィ~ッ何やってんのよっ!!」と男神を引き離して、女性客を軽く小突いていた女神でしたが、いっこうに懲りない彼氏(笑)についにキレて、
「もーこうなったらアタシも!」と男性客に抱きつき始める始末。
上演前の解説では「神様と一緒に遊んでください」と言われてたのですが、ギュウ詰めの見所もワイワイ大騒ぎ。昔の夜神楽は男女の出会いの場だったそうです。
やまねこは・・・観光カグラーでおなかいっぱいになりました~
いつか黒川にも行ってみたいですね~。