2014初夏 ニッカウヰスキー余市蒸留所その1

 ウイスキーをあれこれ飲むようになってから、一度は行ってみたかった蒸留所。
 一年前には、「京都も近いことだし山崎に行こっと♪」などと目論んでたのですが、
ピーティで個性的な「余市」が実は好みだということに気がついて、余市に変更。
秋に朝ドラ「マッサン」が始まるから夏休みは混みそうだし、今でしょ!と即決。
 
 6月7日朝8時半のエアドゥで新千歳に飛び、電車を乗り継いで11時半に余市着。
燻製屋さんでランチをいただいて、旧余市福原漁場、旧下ヨイチ運上屋を回った後にお目当てのニッカウヰスキー余市蒸留所へ。
なぜ最後にしたのかって?・・・言わずもがな、でしょ
 
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 おさらいを兼ねて、ウイスキーの製造過程を要約すると以下の通り。
 
①製麦
  大麦を発芽させ、大麦麦芽モルト)をつくる。
 
②乾燥
  キルン塔でピート(ヨシ・スゲなどの草灰)を燃やし、麦芽を乾燥。この過程でモル  トウイスキー特有のスモーキー・フレーバーがつく。
 
③糖化
  粉砕した麦芽に温水を加え、麦芽に含まれる酵素を働かせて、デンプンを甘い   麦汁に変える。
 
④発酵
  麦汁に酵母を加え、糖をアルコールに変える。
 
⑤蒸留
  発酵液を熱することで香味成分やアルコールを取り出す。通常は2回蒸留を行う。
 
⑥熟成
  オーク材の樽に詰める。長期間寝かせることで豊かな香味と琥珀色がつく。
 
 
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 上の写真は②の乾燥に使われるキルン塔。
土曜日だったせいか、内部は真っ暗でなんにも見えず。。
 
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 独特のスモーキーな香りづけに使われるピート(草炭)。一般的に、日本のウイスキーはスコッチに比べピート香が抑えられているそうですが、「余市」は余市川流域で採れるピートを使った独特のピート香が特徴。ボウモアが好きな人はハマるかも。
 
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 ④の発酵塔。
 
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 石造りの発酵塔のゲートを一歩入ると、こんな設備が。
 
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 発酵塔のタンク。内部は牛乳を発酵させたような、もしくは飼料のような独特の匂いが充満しています。
 ガイドさんの話によると、発酵タンクの地下はパイプで蒸留塔につながっていて発酵液が送り込まれているのだそう。
 
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 ⑤の蒸留塔。この建物、中に入ると本当にすごいんですよ・・・。
 
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 発酵液の蒸留に使われるポットスチル。ここが一番すごかった!
6基並んだ巨大なポットスチルが、時おり蒸気を上げている姿に圧倒されました。
蒸留塔の内部は熱気と独特の匂いが充満していて、アルコールが苦手な人にはちょっときついかもしれません。
 
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 余市蒸留所一番の特徴は、石炭直火蒸留。石炭による蒸留で、独特の力強く、コクのあるウイスキーが生まれるのだそう。竹鶴政孝スコットランドで学んだ石炭を使った蒸留は、熟練した技術が必要とされ、コストと効率の問題から現在ではスコットランドでも珍しいのだそう。
 
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 ポットスチルには日本酒の醸造所のような注連縄が巻かれています。広島の造り酒屋の出身である竹鶴にとっては、ポットスチルは神聖なものだったのでしょう。
 奥から3番目のちびっこいポットスチルは1936年に最初に造られたのものだそう。
(現在、稼働はしていません)
 
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 写真では写っていないけど、蒸気をもうもうと上げながら稼働するポットスチル。
楕円形の覗き窓の奥に、黄色い発酵液が沸騰しているのが見えて、ああ、ウイスキーって生きているんだなあって実感できました。
 
 
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 ⑥の工程、第一貯蔵庫。貯蔵庫の入口にも注連縄が。
 
 
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 「蒸留所の写真といえばこれ!」的な、樽が積まれた第一貯蔵庫内部。
 お酒によっては20年以上もの長い年月熟成させるものもあって、それこそ赤ちゃんが成人するまでと同じくらいの時を、ウイスキーは樽の中で眠り続けているのです。
樽はまさにお酒のゆりかごなんだなあ・・・。
 
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 昔ながらの石倉の、梁の下で眠る樽たち。
 ウイスキーは、常に同じように管理していても樽の置かれた位置などによって、
一樽ごとに微妙に香りや風味が異なるため、機械による管理はできないとのこと。
 樽の製造には熟練した技術と厳しい肉体労働が要求されるため、職人さんも減ってきているのだとか。ニッカでは宮城峡蒸留所で樽を造り、余市で修理を行っているそうです。再利用を重ねた樽は、最後は蒸留塔で燃料に使われています。
原料から始まって、まさに北海道の自然と共存したお酒造りをしているんですね。
 
 取りいそぎ、駆け足で製造工程のおさらいでした~。
 
 それではお休みなさい~。