アマデウスのインク

イメージ 1

 ブログの更新が滞っている一方で、万年筆でカキカキすることが増えたこの頃。
 ブログが長文になりがちな私にとって、夫のいない間の更新には限りがあり、そうなるといつでもどこでも書ける手書きが復権したという次第。面白かった本や、カラヴァッジョのことも、ツバメノートにがーっと書き飛ばすには、ボールペンより万年筆の方が書きやすいのだ。
 
 以前にもパイロットの色彩雫のことを記事にしたけど、書く内容や用途によってインクの色を変えて書くのも愉しい。
 写真は「モーツァルト」という名前のインク。同じシリーズで、作家や哲学者、科学者の名前を冠したインクが出ている。これは少しくすんだようなガーネットで、国産のインクにはない色合いが気に入った。
 中世ヨーロッパでは、恋文を書くときにはガーネットというかバーガンディのインクを使ったらしい…というエピソードが秘めたる書き物にふさわしいと衝動買い。私はどうも物語性のあるモノに惹かれる傾向があるらしい。このインクにモーツァルトを冠しているから参ってしまう。
 ただし、このインクはドイツだかスイスの田舎でおじさんが手作りしているという供給の不安定さと、伊東屋で「赤系のインクは色替えが難しい」と聞いたことから、安価なラミーのサファリ(スケルトンタイプ)を専用ペンとして買う羽目に。インクのためにペンを買うというのは、もはや本末転倒といってもいいのかもしれない。
 サファリなら「一色一本」の色鉛筆的な使い方ができる。
この分だとやがて作家や哲学者たちの顔ぶれが増えていき、彼らのインクを愉しむために手書きの機会も増え、いよいよ本末転倒なインク沼に膝まで浸かりつつある。