料理本をめぐる旅

イメージ 1

 この一か月間に買った主な料理本(実はもっとある…)。
 結婚してから買った本で構成比率が最も高いジャンル。
きょうの料理」のバックナンバーも充実しています(笑)
結婚直後は帰宅中の電車でレシピを読み漁っていたなあ。。

 当初は「必要に迫られて」の料理が、気分転換になると気がついてから、食に関する本の量が増えた。選択基準は自分にも手を出せる食材や調理方法なのかという点なので、私が早く帰宅できる晩は、夫はモルモットになっている。

 実用性ゼロであっても面白い。『ラフカディオ・ハーンクレオール料理読本』、「ラフカディオ・ハーン」と「料理」という組み合わせが惹かれるでしょ。内容も「カメのさばき方」「リスの料理法」なんかもあって想像するだけでわくわくする。しかも料理初心者の主婦向けなんて書いてある。19世紀末のニューオーリンズの主婦じゃなくてよかった(笑)
 金沢のプチホテルで読んだ『古代ギリシア・ローマ料理のレシピ』には、授乳中のブタの乳房を煮込みというトンデモナイ料理があった。現代の感覚では残酷な気がするけれど、子ブタの栄養源になっているくらいだからおいしいんじゃない?という探究心から生まれたレシピではないかと思う。もちろん、子ブタたちもお母さんと一緒に皿の上へ。『ハプスブルク家の食卓」でエリザーベト皇后のお気に入りのお菓子だったという、デメルの「スミレの花の砂糖漬け」は、乙女心をくすぐる。
『イギリスの家庭料理』は実際のレシピとしては惹かれないけれど、デュ・モーリアのサスペンス小説を読んでいる時などは想像に具体的な肉づけがされるという楽しみがある。
 ロシアの長い冬(隠喩的な意味でも)に備えて作るピクルスやニシンの塩漬け、暮らしに海が密接したポルトガルの魚や野菜をたっぷり使ったスープ。食材や調理法からは、おそらく訪れることのないであろう遠い国々暮らしが想像できて、実用できるレシピが少なかろうと、見ているだけで旅をしている気分になれる料理本は楽しい絵本だ。

 「食」からはそれを食べる人間のすがた、人生も映し出すものだと思う。大平一枝の『東京の台所』シリーズが好評なのも、そういう視点に共感する人が多いからだろう。
 いつか「食」をテーマにした美術展なんかあったら行ってみたいなあ。