2017夏 小岩井農場まきば園

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 みちのく旅行3日目は爽やかなお天気。朝早く田沢湖近くの温泉を出発して国道を一路盛岡へ。
 秋田県境の山中の橋は、「蛇沢橋」⇒「猿倉橋」⇒「樹海橋」⇒「木滝沢橋」⇒「熊見橋」と、山深さアピール濃厚な標識が続いていたのに、国境のやや長いトンネルを抜けて岩手県側に入った途端に平凡マイルドなネーミングに変わるのが県民性の違いを表しているようで面白い。
 盛岡に入る前にせっかくだから小岩井農場に寄ろうよ、なんて立ち寄った小岩井農場まきば園。実は田沢湖のレンタカー営業所で割引券をもらっておいたのさ。ふふ。

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 小岩井農場の入口からまきば園駐車場まで車で5分程のプロムナードは、見渡す限り牧草地やトウモロコシ畑が広がっていて、その遥か向こうに草をはむホルスタインの群れが見える。収穫した牧草がロール状に転がしてあるのが北海道みたい。
 時間が限られているので、今回は今年重要文化財指定された明治期の牛舎エリアに絞って散策。それでも1時間半近くかかるから、反対側の羊さんお馬さんエリアまで手を広げたら半日はかかるでしょう。さっき牧草地で見たロールを収納している倉庫も木造なのに非日常感をおぼえる。


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 松林の中でのんびり草をはむ牛たち。こんな環境でのびのび育てられたらさぞ美味しい牛乳が生まれるんだろうな。小岩井の乳製品の価格に納得する風景。

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 山積みされた飼料に群がる鳥たち。一生かかっても食べきれないごちそうの山を前に、きっとヘンゼルとグレーテル状態。

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 重要文化財のサイロ。
 右から明治40年(1907年)建造の1号サイロ、明治41年建造の2号サイロ。サイロの明かりとりの開口部分が木造の山小屋風になっていて、ヨーロッパの牧場にいるかのような異国情緒があります。

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 牝牛舎見学所。屋根のキューポラ(?)みたいな構造物が余市蒸留所に似ている。

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 見学者にまったく動じないお母さん牛たち。

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 明治41年(1908年)建造の第二牛舎。もともとは病牛を隔離しておく牛舎だったのを、分娩期前後の牝牛飼育に転用したのだそう。入口付近には宿直当番表や引継ぎ事項が年代物の木製ボードに貼ってあって、牧歌的なまきばの裏方で管理の流れが慎重かつ絶え間なく進められているのがわかる。

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 二号牛舎前の仔牛コーナー。

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 一瞥もくれない大人の牛と違って、保育園(笑)のこどもたちはニンゲンの姿に興味津々。

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 まただれか来たよ。

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 だれ?だれ?どうしたの?

 好奇心旺盛な仔牛のリアクションは、人間のちいさい子そのまま。人間も牛も心のありようは実は似ているのかも。
トシくっちゃうとちょっとやそっとのことに動じなくなるのは、人間も牛もわんこもおんなじですね。

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 牛舎エリアとまきば園入口を結ぶ林には、こんな澄んだ小川が陽のひかりを反射しながら静かに流れている。

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 林の一隅にある宮沢賢治の詩碑。盛岡高農の助教の口を断って、旧制中学の教師になった賢治は小岩井の地をこよなく愛しました。

 すみやかなすみやかな万法流転のなかに
 小岩井のきれいな野はらや牧場の標本が
 いかにも確かに継起するといふことが
 どんなに新鮮な奇跡だらう
              -「春と修羅」より-

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 北国の短い夏が終わろうとしている。そんな光。

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 岩手山
 北上川にかかる開運橋からおだやかでどっしりとした佇まいの岩手山を見るたびに、心がふわっとやわらいだもの。
小岩井を見守る岩手山も好きだ。