ひとりドリップ

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 冷たい雨の休日。
 以前ならおしゃれなカフェに本とノート持ち込んで、優雅な休日を決めこんでいたところだけど、電動ミルを導入してから家カフェ読書が増えた。
 北欧家具のデザインがすぐれているのは、冬のあいだ家の中で過ごす時間が長いお国柄からだと聞いたことがあるけれど、家で過ごす休日が増えてから、我が家も食器やインテリア雑貨や珈琲豆にこだわるようになった。写真のカップは去年、鎌倉で見つけた作家物。北の国の空のような青灰色の釉薬の美しさ、すこしすぼまったフォルムが気に入っている。
 冬のあいだは宮越屋珈琲のグァテマラを好んでよく飲んでいたのに、きょう口にしたら少し重く感じた。春先は珈琲もかろやかなテイストの方が合うんじゃないかという気がする。そう、ブラジルとかメキシコのような。どうやら舌にも衣替えの季節(?)があるようだ。

 先日人事異動が発表になり、私も当事者の一人なので今後一か月半ほどは残務&引継ぎでゴタゴタする見通し。転勤にこそならないけれど、異動先はより忙しい部署。
 そんな状況なのに(だから?)、難易度の高いテーマに取り組みたくなるのは、本能的に仕事とは別の世界を持ちたいという思いが強いからだろう。
 アーレントの『全体主義の起源』は、読み始めて間もなく近現代史ナショナリズム現象学などの知識がないと理解できないことに気がついて、いったん撤退。初心者がいきなり一ノ倉沢登頂を目指すようなものだと思ったので、必読書をリストアップして地道に読む日々。学生時代に『坊ちゃん』の批評に使った、ベネディクト・アンダーソン『想像の共同体』が刺激的で面白いと思っていたら、新版が出ていたことを知ってジュンク堂で購入。nationの定義は研究者によって多種多様で一定ではないので、他の本も読もうとA・D・スミス『ネイションとエスニシティ』を注文すれば、帰り道に近所の古本屋でホブズボーム『創られた伝統』を見つけて買ってしまう…。全部読み終わる(理解できる)までどのくらいかかるのやら。