かきのもと

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 実家から送られてきた秋の味覚。
 新潟市白根地区で栽培している食用菊「かきのもと」です。
 菊を食べる食文化は新潟と東北、北陸地方の一部に限られ、食用が始まったのは江戸時代からといわれています。
新潟では、おひたしや酢のものとして食され、秋になると実家の食卓に必ず上がっていた食材です。

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 ご覧のとおりスターマインのような可憐な花ですが、鑑賞用の菊に比べて花弁が柔らかく、むしろ春菊に近い手ざわり。
 「かきのもと」という名前の由来は、「生け垣の根本に植えたから」、「柿の木の根本に植えたから」など、諸説あるけれど、現在は、「柿の実が色づいてくるころ赤くなるから」というのが一般的になっているとのこと。

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 以下、母に電話で聞いた酢の物レシピの覚え書き。

1. かきのもとの花びらを摘む(中心部の短い花弁を除く)

 子どもの頃、たんぽぽを摘んでおままごとをしていたのを思い出す牧歌的な工程で、なかなか楽しいので夫と一緒の作業。
 義母も中越地区(柏崎市)の出身なので、夫の家でも菊を食卓に出していたそうですが、義父(北九州出身)は「花を食べるのか」と抵抗があったらしい。

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2. 酢を入れた熱湯でさっと湯がいて水気を切る。


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3. 土佐酢を外周部分にさっと回しかけ、かつおぶしをトッピングしてできあがり!

 菊の爽やかさに、土佐酢の甘酸っぱさとかつおぶしの風味がすごくよく合います。子どもの頃はそんなに美味しいとも思わなかったけれど、大人になって味覚が成熟したのかな。

 学生の頃(特に就職活動していた頃)は、東京育ちの友だちが羨ましかったけれど、年齢を重ねると地方出身でよかったなとつくづく思います。異質な土地を骨身レベルで知っていること、生まれ育った「食」のルーツを持っていることは、東京しか知らない人に比べたら、もしかしたら恵まれているのかも。
先日の「世界ふしぎ発見」で『鮭』をテーマにした放送、舞台が村上市(鮭の塩引き)に移ったら正解を即答したしね。
 「食」はある意味物理的な家にも勝る、「内なる故郷」なのかもしれません。