夜の美術館コンサート

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☆旧朝香宮邸・東京都庭園美術館2008-早川りさこ ハープ・リサイタル-
ハープ:早川りさこ /フルート:細川順三 /ヴィオラ:坂口弦太郎

ドビュッシー  亜麻色の髪の乙女(ハープ・フルート)
ラヴェル    ハバネラ形式による小品(ハープ・フルート)
イベール    間奏曲(ハープ・フルート)
シベリウス   樹の組曲より「樅の樹」(ハープ独奏)
ファルカシュ  17世紀の4つのハンガリアン・ダンス(ハープ独奏)
ヒンデミット  ハープソナタより第3楽章(ハープ独奏)
アンドレ    聖堂の入口 (ハープ・フルート)
ドビュッシー  フルート、ヴィオラ、ハープの為のソナタ
アンコールとして「からたちの花」(ハープ、フルート)



白金台にある庭園美術館(旧朝香宮邸)は、私の好きな建築物のひとつ。
藤森照信氏によると、ほぼ完璧な形で残っているアール・デコ様式の建築物は
世界でもこの旧朝香宮邸と某マハラジャのお屋敷だけ、らしい。
↑は なんだかお化け屋敷の写真みたいですが(^_^;)、
実物は「真珠色の半月の下に浮かび上がる白亜の館」・・・だったのですよ~~。
終演後は、「金田中」のお菓子とショコラティエのショコラが供されてのティータイム。

・・・とはいうものの、演奏会場はアール・デコの館じゃなくて新館の方。
全員N響のメンバーで、細川さんと早川さんは去年CDも出すほど息の合ったコンビです。
このところ能楽どっぷりだったので、久々の「洋楽」を堪能いたしました。

古い、しかもコンサート用ではない会場ゆえ、空調の音が気になったのですが
演奏が始まるとそんな雑音はまったく耳に入らなくなりました。
細川さんの木の笛は、やわらかく温かい音色が本当にすばらしかったです・・・。
フルートを通して、あるはずのない歌詞まで聴こえてくるような演奏で、
いま細川さんは頭の中で歌ってるに違いない!と思うほど。
(アンコールの後、後ろの席の女性も「今の、歌ってたよね」と話してました)
特にドビュッシーソナタは、楽しんで吹いているのが伝わってくる好演でした。

そして、今宵の主役・早川さんがこれまたすばらしかったです!
一番心に響いたのはシベリウスの「樅の木」。
ピアノ曲をそのまま(編曲せずに)ハープで演奏したのだそうですが
ハープのアルペジオが、遠い北の森の木々を抜ける風や粉雪を思わせる演奏でした。
そしてヒンデミットソナタ。テーマは「風にそよぐ竪琴」。
ナチに批判されてスイスに亡命する途中で出会ったハーピストに捧げられたという曲で
楽譜の冒頭に「友よ、私が死んだら祭壇の後ろに竪琴を置いてほしい」で始まる
へティ(だったかな?)の詩が書かれているのだそうです。

※(追記:詩人は「ヘルティ」のマチガイでした。ゴメンナサイ)

この2曲、次の録音に入れていただけないかなあ~。

早川さんは詩の朗読のあとヒンデミットを演奏されましたが、
曲の解説、演奏家としての思いを簡潔に、印象深く伝えられる話し方に知性を感じました。
隣でトークを振られた細川さんも、ユーモアを交えつつ絶妙なフォローをされていて、
「芸は人なり」って、ほんとにその通りだなあと思ったのでした。