NHK交響楽団 第1658回定期公演 (Aプロ)

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ウェーバー / 歌劇「オベロン」序曲
シューベルト / 交響曲 第7番 ロ短調 D.759「未完成」
ブラームス / 交響曲 第1番 ハ短調 作品68
指揮|ネルロ・サンティ


とうとう、この日が来てしまいました・・・。

今日のN響は、コントラバスを向かって左側、トロンボーンを通常より右寄り後方に配置。
「オベロン」てどこかで聞いたな・・・と思ったら、シェイクスピアの「真夏の夜の夢」の妖精王の名前で、今月はどうもシェイクスピアに縁があるみたい。

サンティの指揮を聴くのは2回目?いや3回目かな。
ウェーバーの第一小節を聴いた瞬間、弦の音がいつもと違うのにびっくりしました。
きょうの秋空のように澄みきった明るさ。木管金管もいつもより甘い音を響かせています。
このわずか10分程度の序曲で温まったホールの空気を緩めないまま、
すぐに「未完成」に入ったサンティは空気をよく読んでいたというか、さすがだと思います。
こういうとき舞台の裾から何度もニコニコ出入りしていると、ホールの熱が冷めてしまうのです。

「未完成」はポピュラーな割に実際の公演ではあまり聴く機会が少なかったのですが、それこそ濃厚なジェラートのような、甘く密度の高い演奏。弦だけではなく、若手がそろったホルンが要所要所でびしり!とメリハリをきかせており、オケのレベルが向上したのを感じさせます。
今日は2階席中央にいたこともあって、私の好きなN響木管の響きを充分に堪能できました。横川さんのクラリネットに2本のフルートがゆるやかに絡まりあって流れていくような第1楽章とか。ここしばらく客演首席が続いていたフルートは今日はやはり神田さん・細川さんのコンビで、久しぶりに澄んだやわらかい響きを楽しめました・・・このコンビももう今日が聴きおさめ(T T)
解説によると、「未完成」は実は完成しているのだという説もあるらしいけど、ぐっと引き込まれて聴いていると、やはりあの終わり方は未完なんじゃないかな~と思います。耳の奥で幻の第3楽章が待機しているような・・・そんな幻の響の予兆を感じさせる終わり方で、なんかよかったです。

そして、ブラームス
オペラの経験があまりないN響の、しかもブラームスをオペラっぽく聴かせちゃうところがサンティらしいのかな・・・ドイツものらしい重厚感が好きな人には好みが分かれる演奏かも。
でも、このドラマティックなブラームス、私はハマりました~。ここまでサンティ・カラーでこられると、そのまま味わってみたくなるんですね。冒頭の第1主題を聴いた瞬間、私はドラマとしてブラームスを楽しもうモードに入って、オケの響きの中に色彩と光の揺らぎを堪能しました。ティンパニーが「ブラームスにしては」ややアウトラインが軟らかいような気がしたけど、指揮者の指示だったのかな。テンポはやや速め、曲の進行につれてテンションが上がっていくような演奏でした。

そんなわけで客席もテンション高めでしたが、サンティはとっても上機嫌で各セクションを次々と立たせるだけでは気が済まず、弦セクションの各首席と握手していたのがちょっと笑えました。
そして舞台の裾から鮮やかなオレンジの花束がリレーでオケを渡っていき・・・神田さんの手から細川さんに渡された瞬間、拍手が最高潮に達しました。もう何年も前からこの日が来るのはわかっていたけれど、やはり寂しい。ファンとしては卒業なんかしないで、まだまだ舞台に上がっていただきたいのですけど。細川さんがサンティと並んでお辞儀をされ、やがて指揮者もコンマスも裾に引っ込んでも、木管セクションが舞台の上で細川さんを囲んで握手をしているのに あらためて温かい拍手が湧き起こったのが感動的でした。ああ、また涙目になりそう・・・。今夜はここまでが限界。おやすみなさい。。。(乱筆乱文お許しください)