「絵本 鼠草子」(サントリー美術館)

「ね年」もあと一ヶ月を残すのみとなりました。
私にとっては、「ねずみ」のようにチョロチョロ走り回ってばかりの年でしたが・・・。

さて、「ね年」のうちに
大人も楽しめる「ねずみの絵本」をご紹介します!
イメージ 1

「絵本 鼠草子」
サントリー美術館所蔵の「鼠草子絵巻」(16世紀頃・桃山時代)に
現代語訳の詞書、セリフに漫画風の吹き出しをつけたユニークな絵本です。
東京ミッドタウンサントリー美術館ショップで販売していますが
オンラインショッピングでも購入できます。

いま、写真に取ろうとして気がついたんですが、
「栞」の紐が本のタテに比べてかなり長めにできていて、引っ張り出すと
・・・あれ??この絵本の姿、「ねずみ」に似てません?

ストーリーは、畜生道から抜け出るため人間との婚姻を望んだ「鼠の権頭」が
念願かなって清水寺で美しい姫君と出会って結婚するものの、
姫君に正体がバレて逃げられてしまい、悲嘆にくれた権頭は出家する・・・というもの。

オリジナルの絵巻、私は去年秋の「鳥獣戯画がやってきた!」展で見ているのですが、
美しい姫君と結婚できて嬉しそうな権頭の表情や、台所での召使たちの暴露話、
高野山奥の院」の屋根瓦がネコの形をしている(!)のに和みました。
当時の日本人のクールなユーモア感覚に、日本文化をあらためて見直しました^^
イメージ 2

上は婚礼のお祝いに駆けつける能楽師狂言師たち(部分)。

かっ、かわいい~~!!つぶらなお目々がたまりません!
右端の太夫の扇は「二つ雲」ですが・・・宝生流金剛流のつもりで描いたのでしょうか?
喜多流は江戸時代に発祥したお流儀)
鳥獣戯画や他の絵巻でも、擬人化されたねずみは登場頻度が高いのですが
それだけ当時の生活に密着した動物だったということなんでしょうね。

この「鼠草子」は、サントリー美術館の絵本シリーズ第1弾だそうなので
今後も美術館所蔵の絵巻が絵本化されるらしいです。
そういえば「道成寺縁起絵巻」もあったなあ・・・絵本としては、ちょっとコワイですが(^_^;)